「こんばんは。タカコちゃんだよね?」
「あっ、はい。そうです」
「さっき【イククル】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。あ、あの、こちらこそお願いします」
「大丈夫? 緊張しているのかな?」
「は、はい。こういうの慣れてなくて…」
「安心して。絶対に変なことはしないからさ」
「は、はい」
「それに、もし俺のことが嫌だったら、このまま帰ってもらってもいいからね」
「え?」
「無理しなくていいよ。エロそうとかキモそうとか思ってたら、ここで断っていいんだよ」
「そ、そんなことないです!」
「あ、ありがとう。それじゃあ、ホテルに向かいながら話そうか?」
「あ、あの…」
「ん?」
「ショーイチさんは、私みたいなので大丈夫ですか?」
出会える系サイトでの遊びに慣れていないと自己申告していたタカコちゃんだが、このセリフが出てきたということは、過去に何度か顔パスされた経験がありそうだ。いや、顔パスというより体型パスかもしれない。
「もっちろんだよ!!」
彼女の問いかけに、食い気味で即答する。ここで迷いを見せたら、女性はますます自信をなくしてしまうハズだ。そんなことになろうものなら、この後のエッチがしょっぱいものになってしまう。
こうして、彼女を先導してラブホ街に向かうことになった。その道中、何気なく彼女の仕事を聞くと、タカコちゃんの様子が一変した。
彼女はイタ飯系の飲食店で働くフリーターで、その職場の愚痴をものすごい勢いで話し始めたのだ。
おいおいおい! 今からエッチだっていうのに、そんな愚痴は聞きたくねぇよっ!
そう心の中で毒づきながらも、筆者は大げさに相づちを打ったり同情したり、愚痴話に付き合った。
もしかして、メンタルがイッちゃってる地雷だったのか!?
口からツバを飛ばす勢いで愚痴るタカコちゃんを見て、後悔し始める筆者。しかし、今さら後戻りするわけにもいかない。
今日はやることだけやって、連絡先交換もせずに別れるのが吉だろうなぁ…。
そんなことを考えているうちに、ラブホに到着した。