「私って、あまり性欲がないみたいで…」
「そ、そうなんだ」
「だから、相手の人はつまらないみたいなんです」
「なるほどね。中にはそういうタイプの男性がいるかもね」
「だから、たくさん経験すれば、少しは良くなるかもって思ってるんです」
「うん。それは正解だと思うよ」
「ありがとうございます。それに、お世辞抜きで、今までで一番気持ち良かったです」
「それは良かった。これから、経験を積めばもっと良くなるかもね」
こちらとしては、カノコちゃんと再会する気はゼロなので、無難な返事にならざるを得ない。
その後、帰り支度を整え、部屋を後にした。ハズレ案件の場合、ホテルを出たところでサヨウナラするのが筆者のいつものやり方だ。しかし今回、少しばかり彼女に同情していたので、駅の近くまで送ることにした。
「それじゃ、気を付けて帰ってね」
アルタ前で彼女にそう告げ、デートは終了した。
非モテで不細工で負け組の筆者だからこそ、カノコちゃんの気持ちが痛いほど分かった。
しかし、筆者はただのエロ中年にすぎない。
これからもっとたくさんの可愛いコとエッチするために、下手な鉄砲を撃ち続けなければならない。
だから、何かの間違いでカノコちゃんから再度のお誘いがあっても、無視してしまうことになりそうだ。
(文=所沢ショーイチ)