「こんにちは。カノコちゃんだよね?」
「あっ、はい。そうです」
「さっき【イククル】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。来てくれてありがとうございます」
「大丈夫かな? 俺みたいなので」
「え?」
「ほら、写メと違って実物はかなりエロそうでしょ? 引いたりしてない?」
「ぜ、全然そんなことないです」
「ホントに? 後で後悔してもしらないよ?」
「え?」
「嘘、嘘! カノコちゃんが嫌がるようなことは死んでもしないから安心してね」
「は、はい」
「それじゃあ、このままホテルに向かう感じでいいかな?」
「は、はい。お願いします」
向こうから顔パスしてくれることを若干期待したが、それは叶わなかった。
最近、見た目のレベルが高い女性とエッチする機会が多く、その落差もあって、カノコちゃんがかなりハズレに見えてしまったのだ。
だが、ここまで来たら引き返すことはできない。彼女はスレンダー体型だったので、デブ・不細工の二重苦ではないことが不幸中の幸いだと考えるしかない。
心中は複雑だったが、それをカノコちゃんに悟られるのは避けたい。そこで、無理やり笑顔を作っておしゃべりしながら歩くことにした。
「今日はお仕事終わりなの?」
「は、はい。バイトが終わってからこっちに来ました」
「へぇ。なんのバイトをしてるの?」
「今は牛丼屋さんとポスティングのバイトです」
「ふたつも掛け持ちしてるんだぁ。どっちも暑いこの季節だと大変そうだね」
「はい。でも、他に仕事もないですし…」
「そ、そうなんだ」
どうやら彼女はフリーターのようだ。それにしても牛丼屋とポスティングとは、なかなか渋い職種だ。見た目に自信がないからこそ、華やかな職種を避けているのかもしれない。
それにしても、ネガティブ思考が強そうだ。筆者も非モテ青春時代を過ごしたので、カノコちゃんの気持ちが分からなくもない。
見た目に自信がないからどんどん表情も暗くなり、ますます不細工度が上がってしまうのだろう。
だったら、
気持ちいいセックスで彼女の心の憂さを少しでも晴らしてあげよう!
ホテル街に到着するころには、そんな使命感が芽生えていたのだった。