———————–
写真ありがとうございます。
本当に優しそうな方で安心しました。
私は写真うつりに自信がないので、写真を送れません。
それでもいいですか?
———————–
請われてもいないのにこちらから写メを送った場合、半分くらいの確率で相手も写メを送り返してくる。男性にだけ写メを送らせるのは申し訳ない、という気持ちが生まれるからだろう。
相手を安心させるべく送った写メだが、そうしたリターンの可能性も当然考えていた。もちろん、カノコちゃんのように、それでも写メの送信を拒むケースも少なくない。
まっ、ここまで来たら乗りかかった舟だ。今さら態度を豹変させることもできやしない。
———————–
写メは送らなくて大丈夫ですよ。
カノコさんに安心してほしかっただけですから。
私のほうは今すぐでも、数時間後でも待ち合わせ可能です。
カノコさんは何時頃の待ち合わせが希望でしょうか?
———————–
こうして、その後もメールをやり取りし、18時に新宿アルタ前で待ち合わせすることになった。
約束の5分ほど前に到着した筆者は、ソワソワしながらカノコちゃんを待っていた。
いったいどんなコが来るのか。自信がなさそうだったので、たとえ残念な容姿なコが来ても不機嫌な表情にならないようにせねば。
いろんなことを考えながら待っていると、時間通りにカノコちゃんらしき女性がやって来た。
グヌヌヌヌヌっ。
まず目を引いたのは、ハッと驚いてしまうくらいベリーショートの髪型だった。スレンダー体型なので似合わなくもないが、お世辞にもセクシーだとは言い難かった。
なにより残念だったのは、その顔だ。女性芸人の横澤夏子をさらに地味にした感じで、普段ならあまり近づきたくないタイプだった。
チッ! メールのやり取りに割いた時間の割にはリターンが小せえなぁ…。
心の中でそっと舌打ちしてしまった。
自信なさげなのは謙遜で、案外可愛いコが来るんじゃないか? そんな淡い期待は、粉々に打ち砕かれてしまった。
しかし、この段階で“顔パス”できるほど図太い神経を筆者は持ち合わせていなかった。
まっ、これも修行の一環だ。こうなったら、
最後まで優しい人を演じきってみせるぜ!
気を取り直して、ゆっくりとカノコちゃんに近づき、声をかけた。