こうしてアルタ前からラブホ街に向かって歩き始めた。ここで、みおりチャンは肩が触れんばかりに筆者に近づいてきた。
人妻さんとデートする場合、万が一知り合いに目撃されても大丈夫なように距離を保って歩くのが癖になっている筆者は、この近さに驚いてしまった。
「みおりチャンは、よく新宿には来るのかな?」
「いいえ、家が遠いので滅多に来ませんね。だいたい2年ぶりかも」
「そうなんだ。それなら知り合いに見られる心配もなさそうだね」
「そうですね。でも見られても、知り合いって言い張るから大丈夫です」
普通の人妻なら感じるであろう“後ろめたさ”が、みおりチャンには一切なかった。相当遊び慣れているのか、それとも単純に鈍感なのか…。
「みおりチャンは、よくあのサイトで遊んだりしてるの?」
「うーん、去年から始めて、実際に会うのは今日が5回目くらいです」
「そうなんだぁ」
「ショーちゃんはどうなんですか?」
「お、俺? 月に数回って感じかな」
「へぇ、結構遊んでるんですね。意外だなぁ」
「そう? 遊んでないように見える?」
「はい。真面目そうに見えたから」
「そんなことないって。俺って、清く明るく正しいスケベだからさ」
「フフフ、それじゃあ私と同じですね」
「へ、へぇ、そうなんだぁ」
どうにもコチラのペースが乱れてしまう。彼女の書き込みからにじみ出ていたミステリアスさは感じられず、呆れてしまうほど明るくてノリノリだったからだ。
しかし、筆者はこういう女性も大好物なのである。こうなったら、みおりチャンのノリにとことん付き合い、思いっきり楽しむしかないだろう。
そうこうしているうちにラブホに到着。無事に部屋に入室し、おしゃべりを再開させた。
「みおりチャンは、どんなエッチが好きなのかな?」
「え?」
「優しくするのは当然だとして、他に要望があればぜひ教えてほしいな」
「うーん、優しくてラブラブな感じだったらそれで充分です。ショーちゃんはどうなんですか?」
「お、俺? 俺はとにかく女性に喜んでもらうのが大好きなんだ」
「えぇ? そうなんですか? どうせならショーちゃんにも喜んでほしいんだけど…」
「大丈夫だって! もうすでに喜んでるんだからさ」
「フフフ、やっぱり優しいし、女性の扱いも上手ですね」
「え?」
「人柄って言うんですか? すごく安心できるタイプですよね?」
「う、うん。死んでもみおりチャンの嫌がることはできないので、信じてもらって構わないよ」
「はぁい。ありがとうございます」
その後、別々にシャワーを浴び、ベッドインした。