待ち合わせ場所は、池袋駅地下構内の待ち合わせスポット“イケフクロウ”の前だ。
約束の時間5分前に到着するべく向かっていると、ワカナちゃんからメールが届いた。
ムムっ! このタイミングでメールとは、もしかしてドタキャンか!?
一抹の不安を覚えながらメールを確認することに。
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今、イケフクロウに着きました。
人がたくさんいるので、少し離れたところで待っています。
私の服装はベージュのコートに、黒いスカートです。
もし分からなかったらまたご連絡ください。
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まだ約束の時間に10分以上あるのに、もう彼女は到着したようだ。あと少しで到着する旨を返信で伝え、小走りで待ち合わせ場所に向かう。
イケフクロウに到着し、周囲をグルッと眺める。
ピコン!
獲物は決して逃さない嗅覚で、即座にメール通りの服装の女性を発見したのだが…。
さ、幸薄そうだなぁ、おい。
第一印象はなんとも微妙だった。黒くて長い髪、そして真っ白な肌はいいとして、その表情はとても暗かった。とても今から気持ちいいエッチを楽しむようには見えない。
あえて彼女の容姿を例えると、元女子プロレスラーの豊田真奈美を思いっきり細くガリガリにした感じ。
10年前の筆者なら、迷わず踵を返していたレベルだ。しかし、もうあの頃の筆者ではない。こういう微妙な感じの時でも、闘争心が湧き起こり、ハッスルしてしまうのである。
スケベそうな顔にならないよう気を引き締め、ゆっくりと彼女に近づき、声をかけた。
「お待たせ。ワカナちゃんだよね?」
「は、はい」
「さっき【ワクワクメール】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はヨロシクね」
「よ、よろしくお願いします…」
蚊が鳴くような声で答えるワカナちゃん。見た目の印象通り、性格は決して明るくなさそうだ。
まっ、筆者にしてもゲスの中のゲスという自覚はあるので、他人様の性格をどうこういう資格は微塵もない。やらせてくれるか否かだけが大事なのである。
とはいえ、このままガチガチに緊張している彼女をラブホに連れ込むのは、ちょっと酷だと思った。ここはいつも通り、道化を演じて距離を縮めるのが正解だろう。
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