ラブホ街に向かうため、歌舞伎町を縦断しながら会話を続ける。
「新宿はよく来るのかな?」
「…10年ぶりくらいです」
「そんなに久しぶりなんだ。じゃあ、雰囲気がかなり違うんじゃない?」
「こっちの方にはあまり来たことがないので…」
「そうだね。この辺は女性があまり来るところじゃないもんね」
「はい」
「ところで、今日は何時くらいに帰ればいいのかな?」
「え?」
「帰る時間に遅れないよう気をつけるから、教えてもらえるとうれしいな」
「10時には帰りたいので、9時くらいには駅に着いていたいです」
「了解! それじゃ、それまでゆっくり楽しもうね」
「はい」
無事にホテルにチェックインし、さらに会話を続行。
「ところで、旦那さんとは全然エッチしてないの?」
「もう10年くらいしてないです」
「そ、そんなに! 信じられないよ」
「え?」
「マコちゃんみたいに綺麗な人に欲情しないなんて、俺には無理だなぁ」
「そ、そんなことないです」
「いやいや、そんなことあるって! 今でもモテるんじゃない?」
「い、いいえ。全然です」
「でも、ちょっと前までセフレがいたんでしょ?」
「はい」
「その人とはどうやって知り合ったの?」
「そ、そのぉ…」
この質問は失敗だった。セフレとの馴れ初めを聞くのは、もっとお互いのことを知ってからじゃないと野暮というものだろう。
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