「初めまして。ナナエちゃんだよね?」
「は、はい」
「昨日、【ワクワクメール】でメールさせてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「ゴメンね。もしかして待たせちゃったかな?」
「い、いいえ。迷ったらいけないと思って、早めに着いただけですから」
「ん? 新宿はあまり慣れてないのかな?」
「新宿に来るのは、10数年ぶりくらいです」
「そうなんだぁ。まっ、立ち話もなんだから、歩きながら話そうか?」
「はい」
身体が触れるか触れないかのギリギリの距離を保ち、ラブホテルに向かって歩き始める。
横目で彼女を観察すると、キョロキョロしながら落ち着かない様子だった。
「大丈夫? この辺に知り合いとか多いのかな?」
「それは大丈夫です。ただ、ちょっと緊張しちゃって」
「ああ、そうだよね。ああいうサイトで男の人と会うのはコレが初めてなんだよね」
「は、はい。だから、どうすればいいのか分からなくて…」
「大丈夫だよ。今からするのは気持ちいいことだけだし、絶対にナナエちゃんの嫌がることはしないからね」
「あ、ありがとうございます」
「そんなに緊張しているなら、先に軽くお茶でもする?」
「そ、それは大丈夫です」
「無理してない? じゃあ、このままホテルに向かうってことでいいのかな?」
「はい。ショーイチさんにお任せします」
無事にラブホテル街に到着し、いつもより少しグレードの高いホテルにチェックイン。部屋に入り、おしゃべりを再開させる。
「やっぱりまだ緊張してそうだね」
「そ、そ、そんなことないです」
言葉を詰まらせながら大きな手ぶりつきで否定するナナエちゃん。どう見ても緊張でガチガチなのだが、これ以上の指摘は逆効果だろう。
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