待ち合わせ場所は、歌舞伎町のドンキ前。ここはいつも人が多くて待ち合わせ場所には向かないのだが、リンコちゃんからのお願いだったので断れなかった。
そして、約束の時間に遅れること数分。筆者はトントンと背中を指先でノックされた。
この突然の合図は、筆者にとって想定の範囲内だ。人が溢れる待ち合わせ場所を指定してきたということは、こちらを値踏みしたいという狙いがあったのだろう。
人通りの少ない場所だとこっそり相手を観察することは難しいが、ドンキ前のように常に人の往来が激しいところなら、簡単にそれが可能なのである。
つまり、背中をトントンされたということは、筆者のブサメンは辛うじて相手の許容範囲内だったのであろう。
キリッと顔を引き締め、ゆっくりと振り向く筆者。
妖精なんかより、ずっとずっと可愛い!!
彼女を一目見ただけで、完全にホの字になってしまった。リンコちゃんの顔立ちをあえて例えるのなら、歌手の華原朋美が“遠峯ありさ”を名乗ってグラビアアイドルとして活躍していたころに似ていた。
顔面偏差値最低ランクの筆者からすれば、普段の生活では決して交わることができない天上人のような存在である。
しかし、出会える系サイト遊びなら、こうした奇跡が起こり得るのだ!! だからこそ、筆者はこの遊びを止めることができないのだ。きっと生涯をかけて遊びつくすことだろう。
腰が砕けそうなほどメロメロになってしまったが、なんとか踏ん張って、リンコちゃんに語りかける筆者。
「あ、リンコちゃんかな?」
「はい。そうです」
「さっき【PC★MAX】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
さほど緊張した感じもなく、ハキハキと答えてくれるリンコちゃん。こうした遊びに慣れているだろうという筆者の予想は当たっていたようだ。
「突然後ろからトントンされたから、ビックリしたよ」
「あっ、ゴメンなさい」
「で、実物の俺はこんな感じだけで大丈夫? 引いたりしてない?」
「そんなことないですよぉ。ヤバそうな感じの人だったら逃げてますから♪」
「じゃあ、合格ってことでいいのかな?」
「はい。ショーイチさんこそ私で平気ですか?」
「あったりまえだよ! リンコちゃんみたいに可愛いコが嫌なわけないじゃん!」
「フフフ、だったら嬉しいです」
「あ! でもちょっと引いちゃったかも…」
「え?」
「だって、写メより数百倍も可愛いから、これって写メ詐欺だよね」
「エエッ!? もう、ナニ言ってるんですか」
「ハハ、ゴメンゴメン。ま、ここで立ち話もアレなんで、歩こうか?」
「はぁい」
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