わけもわからず2人の男と結婚する羽目になった21歳美女

20170728jiken.jpg『東京朝日新聞』明治43年12月7日

 
 婚礼当日、どうにも納得できない浅はかな兄の與平は、なんとまさにこれから三三九度という時に妹おつねさんをその場から呼び出すと、無理やり人力車に載せて庄次郎の家に。そして、あっけにとられている彼女に、「さあ、庄次郎さんと盃を交わせ」などと無理強いする往生際の悪さである。

 その頃、仙太郎の家では婚礼の途中で花嫁がいなくなったと大騒ぎになり、神田署に捜索願が依頼された。

 とはいえ、花嫁を連れ去るような馬鹿なことをする奴は目星がついているということで署員が急行すると、おつねさんはもう一方の婚礼の最中に保護された。

 この事件の張本人である與平は神田署に呼び出され、「おつねさんは仙太郎に嫁入りするのが筋であろう」と諭されたという。

 しばしば、「戦前は結婚相手は親同士が決めていて、本人たちに相手を選ぶ自由はなかった」などと言う方がいたりする。確かに、親や親戚が相手を選ぶケースも資料にみられる。極端なケースは、この事件が起きた明治43年、愛知県で17歳の女性が一度も会ったこともない男性と結婚したという逸話が伝えられている。

 しかし、多くの庶民は自分の意志に基づいて結婚を決めていたようであり、確かに旧民法が定める窮屈さはあったようだが、まったく自由がなかったというのは言い過ぎのような気がする。
(文=橋本玉泉)

men's Pick Up

カルチャー関連トピック