到着したのは、グレードの低い安ラブホテル。個室でふたりきりとなるが、どうにも会話が盛り上がらない。
すぐにエッチを始めても良かったのだが、最後の悪あがきとばかりに、なんとか彼女のテンションを上げてみることにした。
「ところでアケミちゃんは、どれくらいエッチしてないのかな?」
「うーん、ちょっと忘れちゃいましたね…」
「そ、そうなんだ。でもエッチは好きなんでしょ?」
「普通ですかね」
「じゃあ、どうしてあのサイトで募集してたのかな?」
根掘り葉掘り聞くのはマナー違反であることは百も承知だ。しかし、まったく会話が盛り上がらないので、自然とこちらからの質問が多くなってしまう。
「じつは、いま主人と離婚協議中で…」
「え? そ、そうなんだ」
「それでストレス発散というか、ちょっと遊んでみたくなって…」
いきなり重い話題になってしまった。これ以上この話を続けるのは危険だ。かといって、他にコレといった話題もなく、気まずい雰囲気が流れてしまうことに。
「じゃあ、そろそろシャワーを浴びておいで」
そう彼女を促すのが精一杯だった。その後、入れ替わりで筆者もシャワーを浴び、ベッドイン。
「痛かったり、嫌なことがあったらスグに教えてね」
「は、はい」
キスしようと顔を近づけると、アケミちゃんの首や肩がガチガチに固まっていることに気がついた。どうやら、かなり緊張している様子だ。
そのままキスを仕掛けてもよかったのだが、どうせなら少しでも彼女に楽しんでもらいたい。そこで、もう一度語りかけることにした。
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