待ち合わせ場所は新宿アルタ前。約束の時間より数分ほど前に着いたのだが、すでにユミコちゃんらしき女性が立っていた。
否、ユミコちゃんらしい肉塊が立ちはだかっていた。
オイオイオイオイっ!
あのなぁ、ポッチャリというのは、女性のふくよかさがちょうどいい塩梅のことを言うんだよ! お前みたいなのはただのデブなんだから、ポッチャリなんていう形容詞を使うんじゃねえっ!!
と、小一時間ほど説教したくなってしまった。
彼女の体型は、女優でタレントの信江勇を一回り太らせたような具合なのだ。スカートの下から見えるふくらはぎは、かるく筆者の倍近くはありそうで、かなり人間離れしていた。
彼女に近づくにつれ、そんなディティールがはっきりと分かってしまったのだ。
ゆるキャラかよっ!
そう毒づきながら、回れ右して人混みに紛れてフェイドアウトすることを考え始める筆者。しかしその瞬間、ユミコちゃんという名の肉塊と目が合ってしまった。
グヌヌヌヌっ!
筆者の服装をメールで伝えてあるので、向こうもこちらを認識したに違いあるまい。ここで回れ右して逃げてしまうのは、あまりにも格好が悪いではないか!
顔面偏差値Fランクのくせに、格好の悪い姿を女性に見せたくないという矜持を持つ筆者。こうなったら、罰ゲームのつもりで最後までイってやろうじゃないか!
そう覚悟を決め、肉塊に近づいていき声をかけたのである。
「こんばんは、ユミコちゃんかな?」
「あ、はい」
「さっき【ワクワクメール】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。こちらこそよろしくお願いします」
「立ち話もなんだから、行こうか?」
「は、はい」
って、待てぇっ!!
お前、何か言い忘れてないか? 普通なら「私こんな体型ですけど大丈夫ですか?」の一言くらいあるべきだろうがっ!!