待ち合わせ場所は、池袋駅地下の“イケフクロウ”前。ここは待ち合わせスポットとして有名過ぎるので、どの時間帯も付近は人ごみで溢れている。
本来ならこんな場所で待ち合わせは避けたいところだが、ヨウコちゃんの希望だったので仕方なくといった感じだ。
そして、ほぼ約束の時間に、あらかじめ聞いていた通りの服装の女性を発見した。
おっ! こりゃアタリじゃネ?
一目見て、テンション爆アゲとなる筆者! 第一印象はデビュー当時の女優・杉浦幸といった雰囲気で、どことなくあどけなさを感じさせる顔だった。
胸のあたりの肉づきもバッチリで、少なくともFカップくらいはありそうだ。
思わずニヤケ顔になってしまう。だが、すぐに気を引き締め、奥歯を噛みしめる。なぜなら、筆者のにやけ顔は自分でもゾっとするくらい醜いからである。
「こんばんは、ヨウコちゃんかな?」
「はい。そうです」
「さっき【PC★MAX】で約束させてもらったショーイチです。今日はよろしくね」
「あ、はい。こちらこそお願いします」
「さっそくだけど、俺ってこんな感じだけど大丈夫かな?」
「え?」
「気持ち悪いとか気色悪いとか思ったら、帰っていいんだからね」
「そ、そんなことないですよぉ」
「ホントに? 無理してない?」
「はい。全然大丈夫です。それよりショーイチさんこそ私で大丈夫ですか?」
「な。なに言ってんの! 俺、さっきからニコニコしてるでしょ?」
「ま、まぁそうですね」
「普段の俺はムスっとした顔なんだよ。でもヨウコちゃんが可愛いからニコニコしてるの!」
「ふふ、そうなんですか。なら良かったです」
ウヒョーと叫び出したい気持ちを抑え、テンション高めでご挨拶。そこからホテル街へと向かうことになった。
プワァァァァン
彼女と肩を並べて地下コンコースを歩き出した途端、筆者の鼻が不思議な匂いを察知した。台所のような、獣のような、工事現場のような、それはひと言で表現できない匂いだった。