待ち合わせ場所は新宿アルタから徒歩10数秒ほどのところにある大型靴屋の前。所用でドタバタしてしまったが、なんとか約束の時間の数分前に到着した筆者。
すると、すでにリンカちゃんらしき女性が立っているではないか!
ウー、ウー、ウー!!
彼女を一目見て、筆者の脳内でサイレンが鳴り響いた。コレはヤバいかもしれない。
尋常じゃないくらい美人ではないか!!
つ、美人局? それとも何かの罰ゲーム? どこかでコチラを窺っている輩がいるのでは? どこからかカメラで撮影しているのでは? 足元に目を落とし、靴ひもがほどけていないことを確認する筆者。よし、大丈夫。これならダッシュで逃げられそうだ。
運動音痴の筆者だが、逃げ足の速さだけは自信がある。最悪の場合、道を尋ねるふりして交番に駆け込めばいいだろう。
警戒しながらジリジリと彼女に近づいていったのである。
近づくにつれ、リンカちゃんの容姿が鮮明となる。彼女の顔は、フリーアナウンサーの中田有紀を少しだけ柔和にした感じだ。スレンダー体型で、スカートから伸びた足が強烈に美しい。
結婚したい!
惚れっぽい筆者だが、一目見て結婚の二文字が浮かんだのは初めてのことだ。こんなイイ女と毎晩ヤれるのなら、エロ業界から足を洗っても構わない。エロ以外になんの取り柄もないので収入は激減するだろう。しかし、それほどの価値があるように思えたのだ。
先程までの警戒心が一気に吹き飛び、酩酊したかのような気分となってしまった筆者トコショー。誘蛾灯に誘われる羽虫のように彼女に向かって歩みを進めたのだった。
「こ、こんばんは。リンカちゃんかな?」
「はい。ショーイチさんですか?」
「う、うん。さっき【ワクワクメール】で約束させてもらったショーイチです。今日はよろしくね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
物おじせず、ハキハキと答えるリンカちゃん。正面に立って気付いたのだが、彼女から発せられている雌フェロモンがハンパではなかった。それを敏感に察知した愚息は既にギンギン状態となっていた。
コレが出会える系サイトの怖いところだ。実際に100人に1人。否、数100人に1人くらいの確率でこんな美人と遭遇してしまう出会える系サイト。こうした体験のせいで、いつまでたってもズルズルとハマってしまい止められないのだ。
ま、端から止める気なんてないのだが…。
「ね、リンカちゃん。無理しなくていいんだよ」
「え?」
「いや、俺じゃ無理だと思ったら、ゴメンなさいしていいんだからね」
「そんなことしませんよ。すごく優しそうで安心したくらいですから」
「う、うん。優しいのとヤラしいのだけは自信があるかな」
「フフフ、面白いんですね、ショーイチさんって」
あ、嗚呼。もうイキそうだ。このままでは触れる前に発射してしまいかねない。ずっと見つめていたかったが、彼女の顔から目を逸らす筆者。
「じ、じゃあ、行こうか?」
「はい」
視界の隅で彼女を捉えながら、微妙な距離を保ってホテル街に向かい始めたのだった。