ワクワクしながら待ち合わせ場所に着いた筆者。そして約束の時間に数分ほど遅れてスミレちゃんがやって来たのである。
グヌヌヌヌヌヌヌヌっ!
やってきたのは、お笑いコンビ・ハリセンボンの近藤春菜を一回り小さくした感じのコ。背は低いのだが、ずんぐりむっくりしていてクマのぬいぐるみみたいな体型だ。
女性を見た目で判断するなんて、筆者のような冴えないオッサンがしていいことではないだろう。だが、しかし! だが、しかしっ!! できれば視界にあまり入れたくないタイプであるのも事実だ。
「どうするショーイチ? タコ糸で縛ったチャーシューみたいな女だぜ? お前コレでもイけるのか?」
自問自答する筆者。
「賢者タイムのこと想像してみ? 絶対に後悔するぜ!」
「で、でも、これくらいのモンスターなら過去に何度も対戦してるケド…」
「ああ、そうかもな。でも、ここでゴメンなさいして他のコを探したほうがいいんジャネ?」
「う、うん。で、でも、そんなことしたら可哀そうだし…」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ! こんな肉の塊にいちいち同情してたらキリがないだろがっ!」
「で、でも、やっぱ18歳の魅力には勝てないよ」
「ハん! 阿保くさっ! マンコの良し悪しが年齢で変わるわけないことくらい知ってるだろ?」
悪のトコショーとお人よしのトコショーが心の中で激しい口論を繰り広げる。そうこうしているうちに、スミレちゃんが筆者に気付いたようでツカツカ、もといドスドスと近づいてくる。
ドクン、ドドクン、ドくくン
動悸が乱れ、呼吸が荒くなる。口内の水分がアっという間に蒸発したかのようで、さぞかし口臭が臭くなっていることだろう。
どうする?どうする?どう、スルー?
目の前にふくよか過ぎるスミレちゃんが立った。
「こんばんは、スミレちゃんだよね? さっき【PC★MAX】で約束したショーイチです。今日はよろしくね」
条件反射的にスラスラと挨拶の言葉がクチから出てしまった。
まさに「NO」と言えないお人よしのトコショー。そう、他人を傷つけるくらいなら自傷したほうがナンボかマシである。金八先生も言ってるではないか。人は悲しみが多いほど他人には優しくできるのだから、と。
よろしくねと言ってしまったからには後戻りできない。