そしてほぼ約束の時間通りにレイナちゃんが登場したのである。
うーん、ギリ、アリだな。
顔は日系三世タレントのマルシアの若い頃を思いっきり不幸せそうにした感じ。体型は可もなく不可も無しといった具合の中肉中背だ。
ま、大事なのは見た目よりも相性である。しょせん出会える系サイト遊びなので、見た目うんぬんよりも「ヤらせてくれる」ことが何より重要なのだから。
「こんばんは、レイナちゃんかな?」
「あ、はい。ショーイチさん?」
「うん、【ワクワクメール】で約束してたショーイチです。今日はよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
物怖じせずにハキハキと応答するレイナちゃん。さすが職場で若い男性社員を部下にしているだけのことはある。
「じゃ、さっそくだけど行こうか?」
「え?」
「いや、立ち話もなんだからホテルに向かおうかなって。それよりもまず軽くお茶でもする?」
「うーん、もしよかったら軽くお酒でも飲みませんか?」
ぐぬぬぬぬっ!
久しぶりにこのパターンかぁ。筆者の経験では、出会える系サイト遊びに慣れていない女性はこうやってまず最初にお酒を飲みたがるケースがまれにあるのだ。
理由はさまざまだろう。相手の男性の人となりを見るためや、見ず知らずの男のチンコを咥えこむ踏ん切りをつけるためや、単純に酔ってエッチするのが好きって場合などが考えられる。
女性にこう言われたら「俺って下戸でさぁ」と断るわけにはいくまい! ここは年上男性の余裕を見せるべく応じてあげるのが紳士ってものだろう。
「うん、いいよ。じゃ、この先に何度か行ったことのあるバーがあるからそこで飲もうか?」
「はぁい」
はい。ここ大事!!!!!!!!!!!!!!!!
こういう場合、絶対に女性に店を決めさせてはいけない! たとえ土地勘のない場所での待ち合わせであっても、必ず自分で入る店を選ぶことが重要だ。
幸いにも筆者はそんな女性に遭遇したことはないが、頑なに自分が行きたい店を主張する女性だったら速攻でサヨナラしたほうが無難だろう。
というワケで西武新宿駅から徒歩2分ほどのところにあるこじゃれたバーに案内したのである。ここは以前筆者が出版社の編集社員だったころの後輩に教えてもらった所だ。居酒屋以外でほとんど酒を飲んだことのない筆者にしてみれば数少ない“知ってる店”なのである。それ以降、出会える系サイトで待ち合わせした女性を何度か連れてきたことがあったのだ。
下戸の筆者が唯一飲めるカクテルであるソルティ・ドッグを注文し、それをチビチビと飲む。一方、レイナちゃんは筆者が1杯を飲む間に次々とグラスを空にしていく。どうやらかなりイけるクチのようだ。