
かつて女性誌「an・an」(マガジンハウス)の読者アンケート『嫌いな男ランキング』で5年連続1位となり殿堂入り、他にも「抱かれたくない男」など男としては不名誉な各種ランキングには軒並み上位に顔を出し、「モテない」「情けない」といったイメージが強かった出川哲朗。しかし、最近はネット上で“出川賛美”の論調が目につくなど、人気が急上昇している。
多いのは「出川が出てきたときの安定感は異常」「すごくいいポジションだよな」「これぞ芸人」といった声だ。ザリガニに鼻を挟まれて痛がる様子はもはや定番となった感があるように、誰もが嫌がる汚れ仕事を引き受ける度量の広さが、ここにきて評価されているようだ。
「人間関係に悩む人が多いこの時代に、大御所からアイドルまでどんな人間ともからむことのできる“コミュ力”の高さがリスペクトされているようですね。ヘタレキャラではあるのですが、基本的に人の悪口は言わないし、自分の立ち位置をよくわきまえているから前に出るべき場面と引かなきゃいけない場面がわかっている。だみ声のせいかグイグイ前に出ていく印象がありますが、意外とでしゃばらないのが出川で、そこも好感が持てるんですよね。年収は4000~5000万円と言われていますが、『番組貢献度からすれば、1億もらってもおかしくない』と過小評価を指摘する声もあるぐらいです」(芸能ライター)
出川は現在『大!天才てれびくん』(NHK)や『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)などに出演しているが、共演者からも好かれているようだ。『イッテQ!』で共演しているタレントの河北麻友子は14日のブログで「だーいすきな てッちゃんと!」と書き込み、出川とのツーショット写真を掲載。別の日にも「ラブラブ」というタイトルで「てッちゃんとペアルック!」と、色違いのジャージ姿で出川と腕を組んでいる写真を載せて仲の良さをアピールしている。
また、通信教育の『進研ゼミ』が中学1年生を対象に行った『友達になりたい芸能人』でスギちゃんを抑えて1位になった出川。17日には自身のブログで「少し早いクリスマスプレゼントが届いた」と報告し、街でも「ケガしないで下さいね! 応援してます!」などと子どもたちからよく声をかけられることを明かしている。さらに「こんな声を聞いたら、熊ともワニとも戦える」と男前な一面を見せる出川。親しみやすいキャラクターで子どもたちや若い女性層からの支持も得ているようだ。
「河北は番組アンケートで一番好きな芸人に出川の名を挙げるほど好きなようで、『イッテQ!』ではデヴィ夫人と出川の見事な掛け合いも話題になることが多い。今や老若男女問わず好かれている出川ですが、やはり『イッテQ!』や『てれびくん』への出演が大きいでしょうね。業界内でも、そのプロ根性と笑いに対するスタンスは高く評価されていて、明石家さんまやビートたけしからも認められているといわれています。それどころか、芸能界で出川の悪口を言う人はいないとも。やけにオシャレでイケメンな芸人が増えてきた今、体を張って笑いをとる不器用な出川の姿は“昭和の芸人臭がする”と見直されています」(同)
高校時代はヤンキーで「キレたナイフと呼ばれていた」ことを明かしている出川。そのあだ名も「キレるナイフだろ」とツッコまれるのがお約束となっているが、どこか憎めないキャラも持ち味といえる。いずれにせよ、実力のある若手芸人もどんどん生まれてきている中、長年第一線で活躍し続けているのは快挙といえる。来年2月に50歳となる出川だが、やっと“出川の時代”が来たのだろうか…。
(文=津本ひろとし)