微妙な距離をキープしながら喫茶店に向かう二人。その道中筆者は頭脳をフル回転させる。これだけ可愛いコなら、土下座してでもヤりたい! 映画談議も楽しそうではあるが、下手に盛り上がりすぎるとアダルティーな雰囲気に持ち込むまで時間がかかってしまうだろう。ならば、映画の話はあえて持ち出さず、最初からソッチ方面を目指して会話をすべきなのでは? そう結論づけた筆者であった。
そうこうしているうちに、徒歩数分ほどのところにある喫茶店に入ることができた。それぞれ飲み物を注文して会話スタート。
「チエちゃん、さっきバイトって言ってたけどどんなバイトしてるの?」
「コンビニでバイトしてるんですよ」
「あぁ、そうなんだ。忙しそうだし、結構体力使うんじゃない?」
「そうですねぇ、でも最近は会社の研修が始まっっちゃったんであまりシフト入れてないんです」
「あれ? 学生じゃなかったっけ?」
「はい、大学4年生ですよ。内定もらった会社の研修なんですよ」
「あぁ、そうなんだぁ! それじゃあバイトを優先するワケにはいかないね」
クーっ! 現役の女子大生ときたもんだ! たまんねぇなぁ、グヒっ!
「そんなに忙しいなら、彼氏とデートする時間もないんじゃない?」
「んー、彼氏ってのは今はいなんですよ」
「えぇぇぇ! そ、そんなに可愛いのに!!」、オーバーアクションで椅子をガタっと鳴らしながら驚く筆者。
「はい。まぁ、彼氏じゃないけど仲良くしてる人はいるんですけどね」
「え? 彼じゃないけど仲がいいってどういう関係なの?」
「んー、……」、急にクチごもるチエちゃん。
「も、もしかして、セフレみたいな感じなのかな?」、まさかとは思うが軽いジャブのつもりで聞いてみた。
「(コクン)」
な、なんたるビッチ!
4年生の大学に通い、内定をもらって就職先も確定している女子大生のチエちゃん。人は見かけによらないものである。しかし、筆者にとっては嬉しい誤算だ。こうなったらたたみかけるしかないだろう。届いたアイスコーヒーで喉を湿らせてから、会話をつなげた。
「ふーん、楽しそうだね、そういう関係も」、驚きを隠しながらたいして珍しくもない風を装う筆者。
「ま、まぁ、そうですね」
「どのくらいのペースでその人と会ってるの?」
「んー、一応妻子持ちの人なんで、月に1、2回って感じですかね」
な、なんたるビッチぃぃぃぃ!
さきほどからフル勃起している筆者の愚息から、ジワっと我慢汁が滲みだしてきた。しかし、ココで驚いてしまってはチエちゃんにヒかれるかもしれない。「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄」、脳内で素早く般若心経を唱えて平常心を取り戻そうとする筆者であった。
「もしかして、チエちゃんって年上フェチだったりするの?」
「そ、そうですね。その人も47歳ですし……」
ムハっ!
もうこうなったらダメ元でイクっきゃナイトである!
「ね、チエちゃん。良かったら、俺なんてどうかな?」
「え?」
「まあ、正直に言うとね。待ち合わせした瞬間からずっと勃起しっぱなしなんだ」
「そ、そうなんですか?」
「うん。だって、チエちゃんがすっげぇ可愛くて好みなんだもん」
「フフ、ありがとうございます」
「だから、コレ飲み終わったらホテルに行かない?」
「え? で、でも」
躊躇するチエちゃん。ま、そりゃそうだろう。初対面のオッサンに「勃起してる」だの「ホテル行こう」だの言われたらサブイボものだ。
だが、セフレがいるほど奔放で、年上フェチのチエちゃんだったら、お情けで一度くらいはヤらせてくれるかもしれない。別にフられても命まで盗られるわけでもなし、行くしかあるまい!
「お願い、ね」、テーブルの上に置かれていた彼女の手をソっと握り、真剣な顔で懇願する筆者。
「(コクン)」
チャラリラリーン!
シ、ショーイチ、嬉ピー!
だってオッサンなんだもの!!
彼女が頷いたと同時に、脳内麻薬がドピュドピュ分泌されはじめた。視界全てがピンク色の霧がかかったようだ。まさに人生バラ色ってやつだろう。
筆者のようなオッサンでも、100回に1、2回はこういう思いを味わえるのである。この世に存在する年上フェチや不細工フェチの女性全てに感謝の気持ちを捧げたいものである。
ゴクゴクっとアイスコーヒーを飲み干す筆者。チエちゃんの頼んだオレンジジュースはまだ半分近く残っていたが、半ば強引に席を立たせて喫茶店を後にした。