
出産を経てソチ五輪出場を目指すフィギュアスケート女子の安藤美姫(25)が、26日に開幕するドイツのネーベルホルン杯に出場することが決定した。当初は10月に開催される関東選手権での復帰が予定されてたが、復帰を前倒しすることが急遽決まった。
安藤は日本スケート連盟が国際大会に派遣する「強化指定選手」を外れており、本来なら自費であったとしても大会への出場は認められないはずだった。だが、ドイツスケート連盟からの招待という“裏ワザ”を使い、異例の出場を決めた格好だ。出産を公表した際の安藤のインタビューを放送したテレビ朝日は、CSで大会を独占放送すると発表。日本スケート連盟は蚊帳の外にされ、安藤サイドとテレ朝が主導する形で決まったようである。
並々ならぬ安藤の決意がうかがえる一方、この強引な復帰方法に批判も殺到しており、賛否両論が巻き起こっている。
「業界内でも、かなり批判が起きていますね。異例中の異例なのに、全く話が通っていなかった日本スケート連盟の関係者たちも困惑しています。もともと安藤と連盟の間には確執があり、お騒がせタイプの安藤には『早く引退してもらいたい』というのが連盟の本音。強化指定がなくとも、11月に開催する国際スケート連盟(ISU)公認大会のNHK杯に『自国推薦枠』で出場することも可能だったが、安藤には連盟からの推薦の打診すらなかったようです」(スポーツライター)
連盟にケンカを売ってまで海外で復帰するからには、それなりの理由がある。ソチ代表枠を勝ち取るためには、10月に行われる関東選手権、11月の東日本選手権を勝ち上がり、さらに12月の全日本選手権で3位以内の成績を収めることが必須条件。また、それとは別にISU公認大会で最低技術点をクリアするという条件もある。
だが、強化指定から外れている安藤はISU公認大会に日本代表として出場できず、関東選手権でレベルの高い演技を披露して強化指定を受けてから、あらためてISU公認大会で最低技術点をクリアしなければならない。スケジュール的にも精神的にも、条件としては相当厳しいと言わざるを得ない。だからこそ安藤は日本スケート連盟の意向を無視してまで、海外からの招待という裏ワザでISU公認大会のネーベルホルン杯出場を決めたというわけだ。
「ワガママ」と言われかねない強引な復帰方法を選んだ安藤だが、そのウラには抜かりのない計算があるという。
「今回の復帰劇では、日本スケート連盟と関係の深いS女史が安藤の後ろ盾になり、国際スケート連盟との橋渡し役になったようです。S女史は安藤の未婚出産騒動の仕掛け人でもある人物。S女史の働きかけが功を奏して、海外からの招待という裏ワザの成功につながった。問題は“ルール違反”を犯したともいえる安藤への、日本スケート連盟からの報復ですが、安藤はフィギュア大会の放映権を買っているテレビ朝日とベッタリ状態。連盟としては、テレ朝が“お得意様”である以上、安藤に厳しく当たることはできない。今回も本来なら抗議すべき事案ですが、テレ朝が絡んでいるため連盟は何も言えません。S女史が裏から手を回し、テレ朝が連盟ににらみをきかせるという万全の構図というわけです」(前同)
少しでもソチ五輪出場の可能性を上げたい一心なのかもしれないが、ここまで強引な手段を使ったからには当然結果が求められる。見事な演技で批判を一蹴するのか、結果が伴わずに批判が強まることになるのか。すべては26日開幕のネーベルホルン杯に懸かっているようだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)