「ショーイチさんって独身なんですか?」
「彼女とかいるんですか?」
「よく出会い系で遊んだりしてるんですか?」
「初対面の女性とホテルとかに行ったりするんですか?」
「子供は好きですか?」
「どんな女性が好みですか?」
今度は質問攻めだ。筆者のことをアレコレと根掘り葉掘り聞いてくるのであった。“なんで俺様の個人情報をお前に話さなきゃいけないんだ!”と内心イライラしてしまったが、ノラリクラリと高田純次ばりにテキトーな返事で応じることにした。
マリコちゃんのお顔は正視に耐えられなかったので、会話の間筆者はずっとうつむき加減で彼女の推定Hカップはあろうかという胸を凝視していた。薄暗い店内照明のおかげで、筆者のこの視線は気付かれていないはずだ。
そう、筆者は彼女の胸を見ながらずっと自問自答していたのだ。
“おい、ショーイチ。お前この生き物相手に勃起できるのか?”
“キスやクンニはご免だが、話のタネにこの巨乳に挟まれてみたい”
“でも一度ヤると後を引きずりそうだよなぁ”
“うん。でも彼女おしゃれと清潔感には気を使ってるから、目をつぶってればデキそうじゃね?”
“いや、ホテルに行ってパイズリだけでお終いってワケにはいかんだろ?”
“やはりどう見ても新種のモンスターだよなぁ”
“ドラクエ2の終盤でイオナズンを連発してきたアークデーモンと初遭遇した時みたいに強烈だよなぁ”
“おう、たしかにあの時は驚いた。たしかアイツ2回攻撃とかもしてきたよな”
“そうそう。サマルトリアの王子が殺されちゃったけど、世界樹の葉のおかげでなんとか勝利できたっけ”
“でもそのすぐ後にブリザードのザラキで全滅しちゃったんだよな”
“うん。あの頃は復活の呪文が52文字もあって大変だったよなぁ”
いつの間にか脳内のドラクエ談義で一人盛り上がる筆者。これが現実逃避ってヤツだ。上の空で生返事しているにも関わらず、マリコちゃんの質問攻めは止まらない。
気がつくと喫茶店に入って2時間が経とうとしていた。そろそろこの罰ゲームを強制終了してもいい頃合いだ。覚悟を決めた筆者は、タイミングを見計らって主導権を握るべく攻勢に転じた。
「あ、もうこんな時間だ。じゃあ今日は約束通りお茶だけってことで帰ろうか」
「え、でも、まだ私……」
「うん。おかげで色んな話が聞けて良かったよ。ありがとうね」
「で、でも」
「じゃあ、駅まで送っていくよ」
「で……」
「じゃあ会計してくるね」
我ながらかなり強引な締めくくり方である。身体中から嫌な汗が噴き出してしまったが、なんとかこのクエストを終了できた格好だ。
駅の近くまで送って行き、「じゃあ、気をつけて帰ってね」と挨拶するや踵を返して街の雑踏にまぎれこんだ筆者であった。
今回はさんざんな目にあってしまったが、最大のファインプレーはアドレスと電話番号の交換を行わなかったことだ。サイト内メールだけでやりとりしていたので、このまま自然消滅をしても不審がられることはないだろう。
ちなみに、その日の夜にこんなメールがサイト経由で届いていた。
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今日はどうもありがとうございました。
約束通りお茶だけって言うショーイチさんって紳士なんですね。
私はもっと一緒に居てもよかったんだけど。
この次はお茶だけじゃなくて、最後まで行ってもいいかも……(キャッ)
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なんとも甘酸っぱいメールだ。胃液がこみあげてきて、気分が悪くなってしまった。なにが「キャッ」だ! もちろん返信もせずにシカトしたことは言うまでもないだろう。
不細工や化け物と会うのが嫌だったら、写メを公開している女性とだけアポを取るという方法もありだろう。だが、写メを公開していない美人や可愛い娘チャンもたくさん存在しているのである。それゆえ、筆者は今後も容姿不明な相手でも懲りずに会いに行く予定である。
それに相手の容姿がわからないほうが、待ち合わせの時のドキドキ感が高揚するものだ。もしかしたら、筆者はこのドキドキ感を味わいたくて出会い系を止められないのかもしれない。
(文=所沢ショーイチ)
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