【ネットナンパ】ホテルが満室のおかげで……

 ツカツカと近寄り、声をかける。「こんばんは、えりチャン。イククルで約束したショーイチです」、極めて紳士的に声をかけた。するとえりチャンは頬笑みを浮かべて筆者に向きなおる。

 
 ポっ。

 
 ひと目で惚れてしまった。グラビアアイドルの山本梓を彷彿とさせるキツネ顔であったが、キュートな笑顔が愛くるしくて萌え死にそうだった。本来筆者はタヌキ顔の女性が大好きなのだが、ここまで笑顔が可愛ければ問題ナッシング。ファーストコンタクトでいきなり頂点に達してしまった。

「じゃ、早速だけどホテルに向かおうか」

 そう促すとコクンと頷くえりチャン。筆者のような冴えないオッサンがこんなにも可愛らしい女性とセックスできるとは! まさに出会える系サイトのおかげだ。本当に素晴らしい国である。否が応でも愛国心が高まってしまう。

 こんな可愛らしい娘の腰に手をまわして街を歩くことができたらさぞかし鼻が高いことであろう。そんな欲求に駆られるが、初対面でそこまで図に乗る訳にはいかない。微妙な距離を保ちつつ、ホテルのある方向へエスコート開始。

 5分弱でホテルに到着。だが、そこは既に満室だった。週末だったらいざ知らず、平日だったので油断していた。バツの悪さを感じつつ、もう1軒のホテルへ向かおうとした。しかし、えりチャンの口から予想外のセリフが飛び出した。

「よかったら、私の部屋に来ませんか?」 
 
 

 
あqwせdrftgyふじこlp!?

 

 彼女が何を言っているのか理解するまで時間がかかってしまった。筆者のとまどいをスルーして彼女が続ける。

 
「ここから歩いて5分くらいなんですけど、ショーイチさんさえ良かったらどうですか?」

 
 望外のお誘いで心拍数がレッドゾーンに突入。高速で首を縦に振りまくりたいところだが、なんとか正気を保ち尋ねてみた。

 
「え? 初対面の男を家にあげたりして怖くないの?」

「は、はい。ショーイチさん優しそうだし、プロフィールに既婚ってあったから安心できそうだし……」

 
 そうなのである。筆者はプロフィール欄で既婚と称しているのである。割り切り交際を望む女性にとって、既婚男性は安心して遊べる相手として好印象を与えるものなのだ。それを見越して、あえて「既婚」と称していたのだ。

 
「で、でもなんか悪い気がするなぁ」

「だって、もう1軒のホテルも満室かもしれないし、だとしたら移動の時間とかもったいないじゃないですか」

 
 たしかにその通りである。最悪もう1軒も満室だった場合、タクシーを拾って大久保近辺に移動するしかない。移動距離は1駅分なのでタクシー代はたかがしれているが、時間の無駄には違いない。

 
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうね」

 
 こうして今度はえりチャンのリードで歩を進めることになった。そして3分もしないうちに小奇麗なマンションの前に到着した。

 
「ちょっと部屋を片付けてくるんで、ここで待っててもらえますか」

「うん、いいよ」

「じゃあ、とりあえず携帯の番号を教えてくれます?」

「OK! 終わったら電話して。のんびり待ってるから慌てなくていいよ」

 
 マンションの前で待っていると、数分もしない内に筆者の携帯が鳴った。

 
「あ、ショーイチさん? 片づけ終わったんでエレベーターで3階まで来てくれますか?」

 
 言われるがままに3階に到着すると、えりチャンが待っていてくれた。

 
「あ、こっちです」

「うん」

「この部屋です」

 
 部屋の大きさはワンルームタイプ。小さなキッチンと6畳弱の居室があるだけだ。まぁ、駅から近くて新しいマンションなので、これでも上等なほうなんだろう。

 
「駅から近いし、綺麗なところだね。家賃とか結構するんじゃない?」

「はい。お給料の半分近くは家賃で消えちゃいますね」

「もう少し都心から離れれば家賃も安くなるのに」

「あ、私、満員電車とかに乗れないんですよ」

「そうなんだぁ」

「だから、家賃が高くても仕方がないんです」

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