イケメン・ネガティブよりブサイク・ポジティブ!? 今時テレビの“キャラタレ”事情

20120617.jpg※イメージ画像:『フジテレビに出たい人TV』オフィシャルサイトより

 どんなにタレント飽和時代と言われようとも、テレビは新しい人材を求め続けるようだ。特にフジテレビはその作業に熱心なようで、深夜帯とはいえ、『フジテレビに出たい人TV』『うもれびと』という人材発掘バラエティを2本放送している。

 共に今春から放送を開始した両番組。さっそく『うもれびと』での出演をきっかけに“イケメンなのに超ネガティブ”というキャラクターの持ち主であるモデルの栗原類が『芸能BANG+』(日本テレビ系)に出演するなど、活躍の片鱗を覗かせている。

 とはいえ、若干17歳という栗原が、今後さらにバラエティ番組などで活躍するとは考えにくい。確かに“イケメンなのに超ネガティブ”というキャラクターは新しいかもしれないが、ある程度いじられ尽くせば、それで終わり。栗原自身が何かを生み出していかなければ、すぐにでも飽きられてしまう。もちろん、本人が今後をどう考えているかはわからないが、テレビバラエティというものには向いていないことは明らかだ。ただ、それでも今の個性を活かしたいと思っているならば、きっと個性的な俳優などが向いている。

 やはり、どんなに新鮮なキャラクターといえども、テレビバラエティに向いているか向いていないかという問題は大きい。ただ一時のイロモノであれば、それこそどんなに奇抜なものであっても構わないだろうが、継続して活躍しようとすれば、向き不向きは避けて通れない問題だ。

 では一体どんなキャラクターがテレビバラエティには向いているのか。何と言ってもそれはテンションだ。近年のテレビバラエティ界で著しく勢力を伸ばしたのが、読モやオネエ軍団ということからも、それは明らかだろう。彼女たちは、テレビバラエティのほとんどに出演している芸人たちにも引けをとらないテンションを持っていた。ともすれば芸人たちより高いテンションでバラエティに出演する彼女たちは、自ら積極的に発言し、リアクションをする。そうした能動性が、番組を盛り上げるのに一役買っているのは間違いない。

 つまりイケメンなのにネガティブというキャラよりは、“ブスなのに超ポジティブ”というキャラの方がテレビバラエティには向いている。ただ、すでにそのキャラクターがオネエたちの専売特許なのは言うまでもない。

 次から次へと新しいタレントが出てきては消える芸能界で、本職ではない人々が継続して活躍するのは難しい。そんな中で、オネエやモデル出身者たちが今でもその立場を維持していることは大きな意味を持つ。やはり、制作サイドとしても、芸人に頼りがちな番組の中で、彼らよりテンション高く、“バカなのに超ポジティブ”なモデル出身者や“ブスなのに超ポジティブ”なオネエたちは重宝するのだろう。次にどんなジャンルの人々が注目を集めるかはわからないが、とにかくテレビバラエティで活躍するにはテンションが肝要。近頃ネット上で話題を集めている志茂田景樹なども、以前はその個性的なファッションとテンションでテレビバラエティに引っ張りだこの時期があった。今後は、彼のような、文化人系でテンションの高い人々がバラエティを席巻するかもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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