ワイドショーでリポーターを務めていた奥山英志氏(62)の失踪を「週刊女性」(主婦と生活社)が報じてから1カ月が経とうとしている。奥山氏の足取りは大震災翌日の3月12日に、マンション住人に目撃されたのが最後だといわれている。その後、一部スポーツ紙が東京都八王子市での目撃情報を掲載していたがこれは誤報の可能性が高いという。
何者かに連れ去られたか、はたまた自殺か……。さまざまな憶測を呼んでいるが、真相究明は警察にまかせるとして、テレビ業界関係者の多くが失踪の遠因に指摘するのは、テレビリポーター”冬の時代”である。
「失踪したのは、リポーターの世界が厳しいからとささやかれています。80年代はワイドショー全盛のころは、事件や芸能を扱う花形リポーターたちの月収は800万円をくだらず、年収は1億円以上とも言われていました。しかし、バブル崩壊でテレビ局は大幅な経費削減をするようになり、視聴者のニーズからワイドショー番組は次々と打ち切りになっています。リポーターはリストラされ、局アナなどで代行するケースが増えているんです」(番組制作プロダクションのディレクター)
とりわけ、芸能リポーターには逆風だ。芸能人はネットを使い個々に宣伝や発表をし、記者会見も少なくなっている。また、記者会見があっても、切り込み鋭い質問で視聴者の知りたいことを聞き出すリポーターが少なくなったからだ。
「東京のキー局は、芸能リポーターはいらないと考えています。スポーツ紙の芸能記事を読みあげるのが芸能コーナーの主流になってしまい、それは女子アナが担当すれば十分。5~6年前から関西のワイドショーに活路を見出していた人たちも、最近は出番が減っています。今は福岡の放送局まで通うリポーターもいますよ」(テレビ局関係者)
リポーターはつぶしが利かないといわれ、議員に転職しようという人もいる。鬼沢慶一氏は10年前の参院選に出馬したが落選。その後の活動が聞こえてこないので、事実上の引退だろう。めでたく転職できたのは須藤甚一郎氏で、東京都の目黒区議として4期目を務めている。また、阿部光利氏は4月の台東区議選で初当選した。
「辛うじて生き延びているのは、前田忠明さんと井上公造さんぐらい。立派といえば立派ですが、近い将来、芸能リポーターという職業そのものが全滅するかもしれませんね」(スポーツ紙デスク)
(文=上条泡介)
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