ネット上でますます過熱するフジテレビ批判と非ネット民たちとの格差

masukomi0805s.jpg※イメージ画像:『マスコミは何を伝えないか』/岩波書店より

 俳優の高岡蒼甫や芸人・ふかわりょうによる発言によって、ますます熱を帯びてきたフジテレビ韓流偏重放送への批判。当メンズサイゾーでも連日に渡って記事にしてきた一連の騒動だけに、多くのネットユーザーが関心を抱いている事柄なのは疑いようがない。しかし一方で一般視聴者におけるフジテレビへの視線はどうだろうか。ネット上で展開するフジテレビ批判とはかなり温度差があるのではないだろうか。

「ネット上でどんなに騒がれていようが、それを利用しない人にはまったく関係ない話ですからね。テレビで韓流がブームと放送されていれば、世の中全体がそうなのだと認識してしまう人は多いでしょう。特に高齢者にその傾向はあるでしょうね。まさかテレビが嘘をつくとは思っていない世代ですから。それが報道番組という形式であればなおさらです」(業界関係者)

 今年6月に実施された博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査2011」によれば、東京都内在住の15~69歳の男女が一日にメディアに接触する平均時間は5時間50分だという。この結果に関して、調査を行った博報堂は、メディア接触時間に大きな変化は無いが、ミニブログやスマートフォンなどによるメディアへの接触時間が増えたという分析を示している。だが今回の記事で注目したいのはスマフォの躍進などではない。この調査データの詳細によれば、平均メディア接触時間5時間50分のうち、テレビに接触している時間が45%程度の2時間40分でダントツだということだ。

 もちろんこの調査はメディア接触の重複を禁じているわけではないので、テレビを見ながら家事をしたりネットをしているなどという時間なども含めている。純粋にテレビだけを見ている時間が2時間40分に渡るというわけではない。だが、それでもやはり「ながら」であるとはいえ、一番身近にあるメディアがテレビであるということは間違いないといえるだろう。

 特に60代女性は約3時間弱とどの世代よりもテレビに接している一方でPCからのネット接続は約30分程度と各世代で最小時間だった。また、各種メディアにおけるイメージ調査では、テレビには「おもしろい」や「仲間との話題に必要」といったイメージがあるのに対し、ネットには「知りたい情報が詳しくわかる」や「情報が早い」といったイメージがあるようだ。

 これらの結果は万人が共有するテレビメディアと個人的に楽しむネットメディアということができるだろう。だからこそテレビはどんなメディアよりも平等でなければならない。ネットユーザーはフジテレビの韓流放送を批判しているのではなく、偏重放送を批判しているといえるのではないか。あからさまに韓国や中国を非難するのは、隣国に対するどこの国にもあるやっかみ程度のものだ。

 しかし実際テレビにもっとも触れている世代は、前記したネット使用時間の短さからいって実体に迫った情報を知ることが無い。そんな人々は、韓流スターのレコード版権をテレビ局の子会社が持っていることを知らなければ、テレビ局の大株主が外国企業であることに関心が無い。ただ流行っているからテレビに出ているものだと思っている。

 ネット世界では途方も無い嘘やとんでもない罵詈雑言が飛び交っている。目を覆いたくなるような中傷は頻繁に起こっている。しかしその中にも有益な情報は確実に存在する。そんなネットの世界では情報を取捨選択する力が求められる。しかしテレビには、地上波デジタル放送の完備が進んだとはいえ、まだまだ情報を選択する術がない。チャンネルを回すぐらいなものだ。テレビにしか触れない世代とネットばかりに触れている世代では確実に情報量が違っている。景気低迷でますます格差の広がる世の中だが、この情報格差は大変な問題なのかもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『thank you for the music !』

 
さすが、ロケットマン! ぶっ飛んでるー!!

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