【連載】本多圭のオトコとオンナの芸能恥話

押尾学、エイベックスから損害賠償請求

kunimitu0427_1.jpg※画像は『クニミツの政(まつり) DVD-BOX 』/ポニーキャニオンより

芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、芸能界の裏側に横たわるオトコとオンナの深い業を掘り起こします。

 芸能界を30年近く取材していて、さまざまな男女のトラブルを目にしてきた。そんな中でも、男女の関係が生んだ大きな悲劇のひとつが、押尾学事件だ。

 筆者は、事件発生直後から終始、被害者である田中香織さんは、押尾学被告の利己的で無責任な言動の犠牲者であり、押尾被告は厳罰に処されるべきだという主張を繰り返してきた。詳しくは、日刊サイゾーでの連載「芸能界・今昔・裏・レポート」を見てほしい。

 その押尾被告だが、元所属事務所である「エイベックス・エンタテイメント」から損害賠償請求されていることが分かった。ここでもひと波乱起こりそうだ。

 押尾被告は2006年に、女優の矢田亜希子と周囲の反対を押し切って結婚したことから、芸能界追放に追い込まれた。その後、”パチンコ・格闘技業界の黒幕”と周囲が勝手に誤解するAなる人物の紹介でエイベックスと専属契約を結んで、再スタートを切った。当時の押尾被告は、自ら、北野武監督の『アウトレイジ』のオーディションに応募するなど意欲的だった。押尾被告が狙った役は、映画では加瀬亮が演じている、英語が堪能なインテリヤクザ。ところが、オーディションでの押尾被告ときたら、英語はブロークンで、挙動不審ということで落とされた。もし、押尾被告を合格させていたら、『アウトレイジ』は公開されていなかったかもしれないのだから、北野監督は「(オーディションスタッフが)落としてくれてよかったよ」と後になって安堵していた。

 09年に、押尾被告は田中さんに合成麻薬MDMAを飲ませたとし、麻薬取締法違反で逮捕。その後、田中さんに対する保護責任者遺棄致死罪で再逮捕。裁判員裁判で懲役2年6カ月という軽い判決を受けたが、執行猶予の判決を求めて控訴。4月18日に東京高裁は一審の判決を支持して、控訴を棄却した。押尾被告は棄却を不服として、最高裁に上告するという悪あがきを見せた。これで、押尾被告は当分収監されることはなくなった。

 だが、押尾被告には一息ついていられない事態が待っていた。エイベックスは事件後、押尾被告が出演していたために、公開規模を縮小したり、公開を無期延期にせざるを得なかった映画について、賠償責任を負ってきた。高橋克典主演の映画『誘拐ラプソディー』と加藤和樹主演の『だから俺達は、朝を持っていた』だ。そのエイベックスが、今度は押尾被告に対して賠償請求をしているという。

 『誘拐ラプソディー』は、押尾被告の役を榊英雄監督が自ら演じて、10年4月に公開にこぎ着けたことで、損害賠償額は2,000万円程度に収まったというが、『だから俺達は~』は、押尾被告の出番が多すぎて撮り直しが利かず、お蔵入りになった。2本合わせて1億円近い金をエイベックスが立て替えたために、押尾被告に弁済するよう内容証明を送っていたのだ。事によっては、泥沼訴訟に発展しそうだ。

 田中さんの遺族は一審の判決後、押尾被告の刑があまりにも軽すぎ、また裁判で死の真相が明らかにならなかったことから、押尾被告を民事訴訟で提訴して、真相を明らかにすると語っていたが、弁護団の不甲斐なさに愛想を尽かして、訴訟を断念した。さぞ、押尾被告はホッとしたことだろう。しかし、押尾被告が最高裁に上告したことで、遺族の怒りに再び火が付いたという話を関係者が筆者に伝えてくれた。

 控訴審では、押尾被告が謝罪の手紙と100万円を遺族に渡そうとしたが拒絶されたという話が出たが、真相は定かではない。遺族側はこれまで、押尾側からは直接謝罪を受けたことがないと語ってきた。このことについても、遺族はいずれ真相を明らかにすると言っている。エイベックスからの損害賠償請求もそうだが、押尾被告が安心して眠れる日は遠いだろう。妻子がいながら女性と遊びまくり、相手を死に追いやるような危険な行為に及んだ罪は、2年6カ月の懲役では償えないのだ。
(文=本多圭)

『誘拐ラプソディー 特別版』

 
監督が代理出演ってスゴイ。

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