◆さすらいの傍聴人が見た【女のY字路】第25回

憧れていた日本への落胆が殺害の動機に!? 中国美女による殺人未遂事件

21Pn+-Go74L._SL500_AA300_.jpg*イメージ画像:「インジェクター 1・2.5・5ml 3個セット」

 付き合っていた男性を練炭自殺に見せかけ殺害した疑いで逮捕された木嶋佳苗(35)。先日、警視庁に再逮捕されたものの、頑なに否認を貫いている。状況証拠しかないということと、裁判はまだまだ始まる気配のない現在、あまりいろいろ言えないが、何食わぬ顔で恋人を殺害しようとする怖い女は、数年前にもいた。

 鈴木詩織(33=当時)。2004年4月、千葉県光町で、夫の鈴木茂さん(54=同)に糖尿病治療薬であるインシュリンを注射し殺害しようとしたとして、06年3月に逮捕された。逮捕当時の報道によれば、詩織は茂さんに熱湯をかけ火傷を負わせた傷害事件でも起訴されていたという。また、95年には、夫婦宅と同じ敷地内にあった茂さんの父母の家が全焼。焼け跡から首を絞められた父と頭を鈍器で殴られた母の遺体が発見されている。

 火災の件は現在も未解決だが、同年9月、千葉地裁で行われた茂さんへの殺人未遂等初公判。詩織は「殺そうとして注射したのではない」と殺意を否認した。

 公判で見る詩織は、まあ、なんというか、ものすごい美人だった。白いシャツとジーンズに黒のダウンジャケットという何の変哲もない服装も、彼女が着ると、自然体を狙ったオシャレなのではないかと勘違いしそうになるほど。勾留されているのに髪はサラサラ。スッピンなのにものすごくカワイイ。そして毎回おびえたように、上目遣いでオドオドと法廷にやってくるのだ。

 彼女は逮捕前、浅草で風俗店を経営し、「サクラ」の源氏名でホームページにも登場していた。また美容整形に約1,000万円もかけていたという報道もある。確かにうなずける美人っぷりだ。男性傍聴人もうっかり「かわいいなぁ」などと漏らしていた。

 そんな詩織、中国出身のため、法廷ではたどたどしい日本語と中国語を織り交ぜ供述。それがまた、女の自分から見ても、儚げに映る。ただ、供述内容は、そんなに可愛くはなかった。

「中国にいた頃、テレビで京都の風景を見ました。来る前は、毎日キモノ着て、花の中を歩き、家の中にフスマがあって、ワシツで生活……私は想像してました。
 でも、千葉と京都は違う、ホント、田舎なので、京都と全然違うので、想像と全然違いました。親戚関係にもうんざり……」

 と、かつて憧れていた日本への落胆を語り、

「20歳も歳の差……コレだけ離れてて、大事にしてくれると思ってたけど、そうではなかった。私にとっては初めての男性……夜の生活は、日本での生活の中で一番苦痛でした」

 夫のことについても不満を述べていく。そして事件については、

「子どもの親権が欲しかったので、薬を打って体を弱らせようと思っていました。……植物状態になる薬だとは思っていませんでした。
本当はそうと思ってやってない。やっぱり、そうなっちゃった。ゴメンナサイしか言えない……」

 と、通訳を交えるせいか、肝心なところなのにニュアンスがよく分からないが、薬は別の女性A(同じく逮捕され、有罪判決を受けている)から提供してもらって犯行に及んでいるため、致死量が分からなかったと言いたいようだ。

 結局、一審も二審も判決は懲役15年。「夫に睡眠薬を飲ませたうえで注射し、約9時間放置した」ことから殺意を認定されていた。

 茂さんはインスリン投与後、脳障害を起こし寝たきりに。その頃スナックで働き始めた詩織は「茂さんの面倒は頼みます」と言い残し、千葉から姿を消していた。そして整形後、風俗嬢になった。

 法廷でボロを出す被告人は多いが、彼女は最後まで、慣れない異国の地に嫁いできた、か弱い嫁というイメージだった。本当の動機も彼女自身の口から語られることはなかった。いろんな顔を使い分け、ウソを突き通せる。こういう女は一番怖い。
(文=高橋ユキ)

◆さすらいの傍聴人が見た【女のY字路】 バックナンバー
【第1回】ホームレスを手なずけ、大家を手にかけたA子のプライドとは
【第2回】動機の見えない放火殺人
【第3回】「呪い殺すぞ」「しっしっしー」二代目騒音オバさん 隣人との土地取引トラブル
【第4回】秋葉原17人殺傷事件:被告人が涙した、女性証人の心の叫び
【第5回】SMプレイの果てに彼氏が死んでしまった元レースクィーン
【第6回】男の奴隷となり、家族を手にかけた女の半生
【第7回】ミイラとりがミイラに!? 元警部補がトリコになったシャブと女
【第8回】SM、女装、シャブに暴力……元NHK集金人の奔放すぎるハーレム生活
【第9回】消火器とマヨネーズを郵便ポストに噴射…… SMの女王様の一途な恋
【第10回】平塚5遺体事件 生きている人間より死体の多い部屋
【第11回】遺体をノコギリで切断しコンクリート詰めに! 40代ブリッコ中国女の迷走ぶり
【第12回】「ブサイクな嫁とバカな子と一緒にいればいいじゃん」に激昂! 別れさせ屋事件
【第13回】11の偽名を持ち数年間逃亡した女 レズ殺人事件
【第14回】「合鍵を作って部屋に入ったら、強姦したくなった……」身勝手な殺人
【第15回】セレブ妻バラバラ殺人事件
【第16回】旧皇族・有栖川宮(ありすがわのみや)詐欺事件
【第17回】ジャニオタ女の一途過ぎる一方的愛情
【第18回】芸能界に蔓延るMDMAの実態を垣間見る
【第19回】「あなたの子供なのに、どうして!」嫌悪感の極致 不同意堕胎事件
【第20回】厚生労働省の郵便不正事件だけじゃない! 元検事によるトンデモ事件
【第21回】出会い系にご用心! カノジョの『告白』にキレた男が取った行動とは?
【第22回】川崎通り魔事件・被害女性が語る犯行時の恐怖
【第23回】「客として会うのは嫌。他の客と同じなのもイヤ」デリヘル嬢殺害・死体遺棄事件
【第24回】仕事も信頼も失う恐怖 元オリンピック選手による覚せい剤事件

men's Pick Up