
先日、大いに世間を騒がせた「ドブスを守る会」事件。首都大学東京は24日、「ドブスを守る会」と称して街頭で撮影した女性の画像を動画サイトに無断で投稿したとして、システムデザイン学部4年の22歳と23歳の男子学生2人を退学処分にしたと発表した。
学生たちは、動画の冒頭で「ドブスが絶滅の危機に瀕している。わが国から消えゆくドブスの姿を収めた写真集を作り始めた」などと自分たちの目的を説明。ネット上で大批判を受けると、悪びれる様子もなく、「大炎上!! これはあきまへん。動画消しますんでこの燃え上り具合見たい人は早めにみといてね」とコメントしていた。それだけにとどまらず、経営難にあえぐ洋品店の70代店主に対し、「ここ絶対潰れますね」と吐き捨てる動画などを撮影したほか、「ドブスを守る会」の動画撮影で身体障害者と健常者の反応を比較することも計画していたという。
学生たちは、一連の侮辱的な行動を”芸術”と履き違えていたようだが、ネット上で彼らに批判が集中する中、あるタレントに注目が集まった。
そのタレントとは、毒舌芸で再ブレイクを果たした元猿岩石の有吉弘行(36)だ。共演者に強烈なニックネームを付ける”あだ名芸”で知られる有吉は、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)に出演した際、人気タレントのベッキー(26)に「よく見りゃブス」と命名。以前に「元気の押し売り」と命名していながら、さらに酷いあだ名を付けた。また、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)では、カリスマモデルの小森純(24)に向けて「根本的なこと言っていいですか。ブスじゃねぇか」などと合計4回も「ブス」と言い放った。
これに対し、ベッキーは嫌がりながらも毒舌を笑顔でかわし、小森に至っては自身のブログで「有吉さんにイジってもらえて、ムシロめちゃくちゃ幸せです」と収録を振り返った。
番組を観たネットユーザーからも、否定的な意見はほとんどなく、賞賛の声が大多数を占めていた。さらに、「ドブス……」の一件が起きてからは、学生たちの行動と有吉の芸風を比較する意見が多く書き込まれている。そのいくつかを拾うと
・学生たちはノリで好き勝手にやっただけに見えるけど、有吉は怒られないギリギリのラインが分かってる
・有吉の毒舌は単なる悪口ではなく、視聴者が心の中で思っていることをズバリと代弁している
・素人では、有吉みたいになるのは難しいな
・有吉は世間的に「美人」とされてるモデルやグラドルに「ブス」と言うから芸。街の一般女性を公の場でブス呼ばわりするのは、ただのバカだろ
もちろん、プロの芸人と素人、対象が女性タレントと一般女性の違い、と言ってしまえばそれまでだが、やはり賞賛を浴びる毒舌と単に相手を侮辱するだけの”芸術”との差は歴然と言える。
ただし、賞賛の声が上がる一方で「いつか有吉が越えちゃいけないラインを越えちゃいそうで怖い」「動画を撮影した学生たちは、有吉の毒舌芸に影響を受けちゃったのかも。ああいう芸が面白いとされる風潮は問題がある」といった意見もある。
女性の容姿をイジるという荒ワザは、一度は地獄を見た有吉のような芸人が腹をくくってこそできる芸当。受け手もプロのタレントだから成立する。素人が安易に真似すれば、対象になった女性だけでなく、観る者にも不快感しか与えないだろう。
「芸術は常識を超えるもの、批判を受けるもの」という意見もあるが、もし学生たちが動画を芸術だと言い張るならば、悪ノリ染みた態度は慎むべきだったのではないだろうか。
(文=ローリングクレイドル/Yellow Tear Drops)
「お前なんかもう死んでいる ~プロ一発屋に学ぶ50の法則~」
有吉の「ブス」は気持ちイイ