リアル「箱入り娘」を誇大妄想に取りつかれた父親が折檻

「箱入り娘……フッ」

　哀しい目で皮肉めいた失笑を漏らす美しきお嬢様・希。本来箱入り娘は、親から惜しみない愛情を受けて大切に育てられた女の子のことを指す。しかし、この希だけは違っていた。実際に箱に入れられ、蔵の中で厳重に保管されていたのだ。そんな昭和ちっくな話にエロスを感じるはずない、と思うかもしれないが、これが驚くほど官能的で、全身のいろんな性感のツボが刺激されまくりの深みのあるドラマ作品となっている。

　物語の主人公は、古い蔵のある家に住む普通のOL・希。しかし、誇大妄想と異常なまでの嫉妬心に囚われた狂える父親の怒りを買い、ある日の晩、透明な箱に入れられ鍵をかけられてしまう。その箱は、足を折り曲げないと入れないほど狭く、一箇所のみ穴があいた奇妙な入れ物。希は、そこに全裸になってうずくまるような姿勢で詰め込まれてしまったのだ。

「お前は母親に似て淫乱な女なんだ！」

　父親の怒りの原因は、希に恋人がいることを知ったためだった。いたって真面目な交際をしていたのだが、堅物な父親は不潔だ淫乱だと罵り、怒りにまかせて娘に折檻をする。なんと、穴からバイブを突っ込みイカせまくる。当然、希は驚くのだが、そんな父親の狂気じみた愛情を諦めたように受け入れてしまう。そうして吐いたのが冒頭の一言である。翌日には、味方だと思っていた弟にまで性的対象として見られ、希は渋々運命だと諦めはじめる。

　しかし、救世主はやってきた。弟の協力を得て恋人が蔵に忍び込んできたのだ。2人は、愛おしそうに見つめ合い、箱ごしにキスをし、小さな穴を使ってセックスするのだが、それもつかの間。父親に見つかってしまい……。

　主演の羽月希ちゃんは、女子高生から人妻役までをこなす演技派若手女優。父親の偏愛を受け止める悲痛な喘ぎ、弟に悪戯され羞恥に悶える高揚した表情、恋人との切なさ溢れる愛ある箱詰めアクメ。どれもが、胸に沁みる迫真の演技。彼女なくしては、ただのコメディーになっていたかもしれない。彼女の表情が醸し出す深い官能の世界をじっくりと味わって頂きたい。
（文＝文月みほ）

『箱入り娘　羽月希』

看板に偽りなし!!

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