「泣けるAV」の最高傑作、ここに誕生! 奇才AV監督・カンパニー松尾の最新テレクラ映画が性欲とセンチメントと涙に満たされているワケ

0312teleclacanon_01.jpg※画像:『劇場版テレクラキャノンボール2013』より

 す、すごい映画を観てしまった……否、体験してしまったと言ったほうがいいかもしれない。カンパニー松尾監督の『劇場版 テレクラキャノンボール 2013』のことである。AV好事家たちの間ではもはや伝説のシリーズとなっている、カンパニー松尾監督の『テレクラキャノンボール』シリーズ。まずは簡単に、その説明からはじめることにしよう。

 1997年、バイクとテレクラが好きなAV監督カンパニー松尾の「夏に好きなバイクでテレクラ行って素人娘とハメハメしたい!」という、単純かつ不純な動機によってスタートしたこのシリーズ。「キャノンボール」の名のごとく、公道レースの要素を盛り込みながら、カンパニー松尾と仲間たちが、自らの運転技術と交渉力を同時に競い合うという画期的な趣向を持ったこのシリーズは、やがてカルト的な人気を獲得。そして、09年以来約4年ぶり、通算5作目となった待望の新作『2013』は、なんと合計10時間(!)というシリーズ史上最大の作品へと仕上がったのだった。

 その10時間版を2時間に絞り込んだ映画作品、それがこの『劇場版 テレクラキャノンボール 2013』である。6人の男たちが、東京から仙台、青森を経由して札幌に至るというオリジナル版を、劇場版では大胆に再編集。基本的なルール説明と参加者の紹介、そして優勝者に贈られる「ボールガール」――神谷まゆと新山かえでの2人を紹介したあと、舞台は一気に札幌に飛ぶ。なんという大胆な編集!

 しかし、今作の魅力と醍醐味は、この劇場版でも十分に感じ取ることができるだろう。そもそも、本シリーズがカルト的な人気を獲得した理由は、そのゲーム性の面白さだけではなかった。むしろ、そのゲームが持つ「ルール」という縛り、あるいは「勝負に勝ちたい」という熱意がいつの間にか生み出してしまう、男たちのむき出しの人間ドラマ。そして、ギリギリの刹那で問われる人間性。そんな、何が起こるか誰にもわからない、予測不能なドキュメントとしての面白さが、本シリーズの何よりの醍醐味なのである。

 カンパニー松尾、バクシーシ山下、ビーパップみのる、タートル今田、梁井一、嵐山みちる――今回のレースに参加した6人の男たちが、レースの合間に交わす他愛ない言葉や何気ない表情。そして、ノリで決めてしまった「特別ルール」が、やがて思いもがけない結果を生み出し、自らの首を絞めていくという、本末転倒の展開。もはや、エロそっちのけでグイグイと進行してゆく物語は、まさしく目が離せない――どころか、気がつけば抱腹絶倒の一大スラップスティック・コメディと化してゆくのだった。

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