アイドルを死に追い込む「芸能界の孤独」

 ”貧乏アイドル”として人気だった上原美優(享年24)が12日未明、東京都目黒区の自宅マンションで首をつっている状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。10日付のブログでは「リアルに私、恋愛が出来ない。恋多き女だった私が、恋の仕方も、恋愛の仕方も、リアルにわかんなくなってる」「私の周りはどんどんみんなHAPPY loveになって美優も嬉しいけど(中略)本当の心の美優、ヤバいヤバいヤバいヤバい」などと恋愛の悩みを告白。彼女は最初に遺体を発見した男性会社員(26)と恋愛関係にあり、死の直前まで自宅で一緒に過ごしていた。周囲からは「二人の交際は順調だった」との証言もあったが、「2時間だけ一人になりたい」と上原が希望して男性会社員が部屋を出ていた間に自殺しており、本人たちにしか分からない問題を抱えていたのかもしれない。

 著書『10人兄弟貧乏アイドル☆ 私、イケナイ少女だったんでしょうか?』(ポプラ社)では、過去に失恋によって自殺未遂を図ったことを告白しているが、精神的にもろい部分があったのだろうか。

「昨年3月に母親を亡くしてから、精神的に不安定になることが多くなり、精神安定剤や睡眠薬を常用していたようです。手首のリストカットのあとを目撃した関係者も少なくありません。スタジオで見掛けても、以前のような明るさや前向きさが失われた印象があったので、自殺の知らせは驚きと同時に『やっぱり……』という気持ちもありました」(芸能関係者)

 若くして命を絶ったアイドルといえば、1986年4月8日に所属していたサンミュージックの屋上から飛び降り自殺した岡田有希子(享年18)が真っ先に思い浮かぶ。彼女の死の真相も諸説あるが、人気俳優との恋愛関係のもつれが直接の原因だったというのが業界の定説となっている。岡田が投身自殺する10日ほど前には、ドラマ『スケバン刑事』(フジテレビ系)などに出演したアイドル・遠藤康子(享年17)が飛び降り自殺しており、恋人との交際を事務所に反対されたことが原因と言われた。97年5月に自殺した女優・可愛かずみ(享年32)は、当時ヤクルトスワローズ投手で元交際相手の川崎憲次郎が住んでいたマンションから飛び降りた。また、90年代に活躍した三人組セクシーグループ「みるく」の堀口綾子(享年22)は、音楽的才能が認められてソロ歌手としての将来を嘱望されていたが、仕事の方向性に関して事務所と衝突があった中で95年4月に首つり自殺した。

 いずれも誰もがうらやむほどの才能や若さがあり、将来を悲観する要素が一見ないように思える彼女たち。上原についても、ひところよりは仕事が減ったものの、FXの勉強を始めてラジオで冠番組を持つなど十分に活躍していたと言える状態だった。大事な恋人や肉親を失ったとしても、慰めてくれるタレント仲間や関係者はたくさん居たはずだ。にもかかわらず、なぜ彼女たちは死を選んでしまったのか。

「失恋や肉親の死など大きな心の支えを失った時に死を選んでしまうのは、タレントに限ったことではありません。しかし、特に人気タレントとなると世間とのかかわりが薄くなり、タレント仲間やスタッフ、事務所関係者としか顔を合わせなくなるため、視野が極端に狭くなります。しかも、ほとんどが仕事上の関係であり、自分を『商品』としてしか見てくれません。だからこそ、自分を一人の人間として見てくれて、どんな時でも絶対的な味方でいてくれる肉親や恋人に極端に依存してしまうのです。依存対象がマネジャーや事務所の社長になることもありますが、その信頼関係は仕事の成り行きで簡単に崩れてしまう。人気アイドルといっても、心に弱さを抱えた若い女性。支えを失った時のショックが大きすぎるあまり、自分の状況が冷静に見られなくなるのかもしれません」(芸能事務所関係者)

 一見華やかな芸能界だが、孤独に苦しみながら必死に笑顔をつくって愛嬌を振りまいている悲しいタレントは、我々が思っているよりも多いのかもしれない。
(文=ローリングクレイドル/Yellow Tear Drops

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