自粛or決行! 震災影響で右往左往するバラエティー番組

dero0416_02.jpg※画像は「密室謎解きバラエティ 脱出ゲーム DERO!」(日本テレビ系)公式ホームページより

 1,000年に1度と言われる未曾有の大震災から1カ月以上がたった。直接の被害を受けていない地域では、すでに日常を取り戻しつつあると言っていいだろう。ただ、それでもやはり今回の震災のあまりにも甚大な被害は、震災以前と同じ生活を送り始めた人々の心に今なお暗い影を落としている。

 例えば、普段なら楽しい時間を提供してくれたテレビバラエティーにも、その放送内容が不謹慎であったり震災を連想させるようなものであると、人々は強い拒絶反応を示す。そして、こうした震災の影響からテレビ各局は番組内容の変更や延期を迫られている。

「今回の震災では津波の被害がとても大きかったので、水難を連想させるような番組は特にご法度のようです。震災直後の16日に放送が予定されていた『密室謎解きバラエティー脱出ゲームDERO!』(日本テレビ系)が『はじめてのおつかい傑作選』に差し替えられたのは、そうした理由からでしょう」(業界関係者)

 自粛や延期が相次ぐテレビバラエティー。いかに大半の視聴者が日常生活に戻ったからといって、それ以前と同じような内容を放送するわけにはいかないのだろう。先日、日刊サイゾーでは、震災後のテレビバラエティーについて「工夫が必要だ」(http://www.cyzo.com/2011/03/post_6935.html)と報じていたが、まさにその通りだ。だが、そうは言っても、自粛や内容変更には当然ながら労力と費用が伴う。また、”こういうときだからこそ笑うことが大事だ”という主張も正しい。単純に何でもかんでも自粛すればいいという問題ではないのだろう。

「3月31日に放送された『ぐるナイ』(日本テレビ系)の『ゴチになります!』に苦情が殺到したという記事が『週刊女性』(主婦と生活社)に載りました。食べる物にも困っている人がいるのに、食べ物でゲームをするなんてもってのほかだということです。記事によれば、局としては放送するかしないか迷ったものの、特番で、しかも韓流スターのリュ・シウォンがゲストということもあって、延期はできないという判断を下したようです。全局が、批判を避けるように相次いでバラエティー番組を再構成するなか、『ゴチ』を放送した日本テレビには、大きな覚悟があったと言えます。一部の報道では、この批判から企画そのものが消滅するかもしれないと取りざたされましたが、あえて放送した覚悟を見ると、今後もゴチは続けていくつもりなのでしょう」(バラエティー番組制作スタッフ)

 この『ぐるナイ』に代表されるように食べ物を扱うバラエティー番組は数多い。一大ジャンルとも言えるフード系バラエティーだが、震災後からは、ほとんどその内容が変更されている。例えば、人気バラエティー『お試しかっ!』(テレビ朝日系)の目玉企画「帰れま10」も、3月11日以降の放送を見ると、これまでの食べ物ランキングを当てるゲームから、カラオケで全国1位を取らないと帰れないという内容になっている。また、特にフード系というわけではないものの、フジテレビは4月2日に予定していた『IPPONグランプリ2011~春の陣~』の放送を延期。代わりに『すべらない話』の傑作選を流した。

 4月14日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)では、急きょ、義援金募集を目的に「ハンマーオークション」が開催された。同番組にも食べ物を扱う人気企画が目白押しだっただけに、すでに4月28日には第2回のハンマーオークションが収録を予定されている。今後しばらくはこうしたバラエティー番組の再編成が続くことが予想される。だが、中にはゴチのように、不謹慎だという非難を受けながらも放送を決行する番組もある。どちらが良いとか悪いとかいう問題ではない。大事なのは番組としての覚悟とポリシーだ。そういう意味では、「バカって言うとバカって言う」と、震災後なにかと話題を振りまいたACの広告を文字ったタイトルを付けて4月9日に放送された『めちゃ×2イケてるッ!SP』(フジテレビ系)は、局の看板バラエティーとして、普段通りの内容で萎縮することもなく、強い存在感を示したと言える。そして、そんな『めちゃイケ』には、不謹慎などという苦情は届かない。震災の影響が消えるのはまだまだ先になるだろう。だがそんなときだからこそ、日常に寄り添ったテレビバラエティーには強い信念を持ってもらいたい。きっと、そうすれば以前よりも面白い放送になるはずだから。

(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『バラエティ番組がなくなる日―カリスマプロデューサーのお笑い「革命」論』

 
まさかなくなる日が来るとは

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