セックス体験談|別れのピロートーク#1

隔たりセックスコラム連載「別れのピロートーク#1」

隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにセックスコラムを寄稿中。ペンネーム「隔たり」は敬愛するMr.Childrenのナンバーより。

 

 たとえば、恋人同士がセックスしたとする。

 彼らは「大好き」や「愛してる」などのくすぐったい言葉を交わしながら、性欲を愛情に変えて、互いの体を貪り合うのだろう。そしてそんな甘い幻想に浸った後、彼らはピロートークで再び「大好き」や「愛してる」、「ずっと一緒にいようね」などをささやきあうはずだ。

 では、恋人同士ではない男女がセックスをしたら?

 いったい彼らは、セックス中に、そしてピロートーク中にどんな言葉を交わすのだろうか。どんな言葉を交わすべきなのだろうか。

 僕は…どんな言葉を梨香に言えばよかったのだろうか。

 梨香に出会ったのは、日差しの強い夏の日だった。

 大学二年生になると、一年生のときに比べて学校に行くのがつまらなくなった。僕は授業をサボるようになり、クーラーの効いた家の中でダラダラする生活を過ごしていた。

 そんな僕の楽しみはmixiで女性と繋がることだった。片っ端からいろんな女性にメッセージをし、返事がきた子とやり取りをする。大学では出会えない社会人の女性、違う都道府県に住んでいる女性。ネットがなかったら決して交わらなかったであろう人たちとやり取りするのは、自分を違う世界に連れていってくれるようで、大学の授業よりも楽しかった。

 メッセージのやり取りだけでもじゅうぶん楽しかったのだが、仲良くなってしまうとどうしても会いたいと思ってしまう。特に可愛かったりキレイな女性だったりするとなおさらだった。僕はいいなと思った女性と付き合うことを想像してみたり、時には、その女性とのセックスも妄想していた。それがその頃の僕の唯一の楽しみだった。

 梨香は、僕がいいなと思った女性の中の一人だった。

 住んでいる場所が同じ東京であるということ、年齢が同じ二十歳であるということ、さらに趣味が同じカラオケということ。共通点が多く、僕と梨香はすぐに仲良くなった。

 梨香はプロフィールに自分の顔のアップをのっけていた。ほっぺが少しふっくらとした、リスのように可愛らしい顔。ぱっちりとした目に黒髪ロング。清楚系という言葉がしっくりくるような、優しそうな見た目をしていた。

 

「隔たりはなんでmixiを始めたの?」

「大学の人間関係に飽きたから、新しい人たちと知り合ってみたいなって思って。梨香は?」

「私は介護で働いているんだけど、新しい出会いがなくて。それで始めた」

 

 梨香のプロフィール写真を見た時、「性格が良さそうだな」と僕は直感的に思った。事実、梨香の返信は常に明るく、やり取りをしていて気分のいいものだった。

 性格が良さそうで、写真を見る感じ顔も可愛い。そんな梨香に僕が会いたいと思うのも当然のことだった。だから僕は思い切って梨香を、共通の趣味であるカラオケに行こうと誘った。梨香からはすぐに了承の返事が返ってきた。

 強い日差しが体に降り注ぐ。体の中の体温が上昇し、汗がダラダラとこぼれ始める。その日は地面から湯気がたっていると錯覚するほど、暑い日だった。

 新宿駅の南口の改札前で僕は梨香を待っていた。南口は地上に出ている。こんなに暑いなら、東口の地下改札前で待ち合わせにすればよかったと、少し後悔した。

 周りに木など見当たらないのに、蝉の鳴き声が聞こえる。この新宿のどこにセミがいるのだろうと思いながら、僕は梨香が出てくるであろう改札をぼんやりと見ていた。

 家にこもりたくなるような暑い日なのに、改札からはたくさんの人が出てくる。気温が高いせいか、肌の露出が激しい服装の女性が多かった。谷間が見えてしまうほどのタンクトップに、パンツが見えそうなほど短いショートパンツ。さすが新宿だ。

 暑いのにもかかわらず、僕が室内に入らずに外で梨香を待っていた理由は、そういった女性たちを眺めるのが楽しかったからだ。それはmixiでたくさんの女性のプロフィールを眺める行為に似ていた。そして、その露出の激しい女性の中に梨香がいると思えば、室内で待つ理由などどこにもなかった。

 そんなふうに改札を眺めていると、携帯に着信があった。梨香からだった。着いたら連絡すると言われていたが、まさか電話でくるとは。

 僕と梨香はメッセージでしかやり取りしていない。僕は梨香がどういう声なのか知らない。それは梨香も同じだ。これから会うとはいえ、電話に出るのはものすごく緊張した。僕は改札から出てくる女性たちを見つめながら、勇気を出してボタンを押す。

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