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ありがとう、K子ちゃん。
物すごく嬉しいよ。
明日でも明後日もそれ以降でも、K子ちゃんのためなら喜んで時間を作るよ。
どうせ会うなら、今後は午前中に待ち合わせしようか?
1秒でも長く一緒にいたいよ。
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今度は5分もしない内に返信が届いた。
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嬉しい。
それじゃあ明日の午前中でも大丈夫ですか?
もしショーイチさんが嫌じゃなかったら、お弁当を作っていきたいです。
子供を保育園に送ってから新宿に向かうので、10時くらいなら間に合うと思います。
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お弁当持参ときたもんだ!
彼女にしてみれば、心がウキウキと弾むピクニック気分なのかもしれない。
こうして翌日の午前10時に、前回と同じ新宿アルタ前で待ち合わせすることになった。
夜型人間の筆者が午前中に待ち合わせするのは、珍しいケースだ。いつも寝たい時に寝て、起きたい時に起きているので、K子ちゃんとの約束に遅刻しないようにするのは至難の業に思われた。
そこで、徹夜で原稿仕事を行い、一睡もしないまま待ち合わせ場所に向かうことにした。
約束の10分前に新宿アルタ前に到着すると、すでにK子ちゃんが待っていた。前回約束した通り、大きなマスクを着用し、サングラスではなく伊達メガネらしきものまでかけていた。
これなら知り合いに見られてもバレる心配はなさそうだ。
小走りで彼女に駆け寄り、声をかけた。
「お待たせ、K子ちゃん」
「ショーイチさん、ありがとう」
「何言ってるの! ありがとうはこっちのセリフだよ。こんなに早くまた会えてすごく嬉しいよ」
「ほ、本当ですか?」
「うん! 今日もこの間と同じで、K子ちゃんの前で嘘はつかないよ」
「う、嬉しい」
「それじゃあ、歩きながら話そうか?」
「はい」
K子ちゃんの右側のポジションにつき、彼女の手を握ってみる。
眼鏡とマスクのせいではっきりとは分からないが、嬉しそうに微笑んだように思えた。
次に会う時はマスクとサングラスをしていれば手をつないであげられるよ、そう約束したことをこちらが覚えていたことに喜んでいるのだろう。
そのまま手をつないでラブホテル街に向かう。