こうしてその場を離れ、ラブホ街に向かって歩き始めた。
「予想以上に可愛くてびっくりしたよ」
「え?」
「それだけ可愛いんだから、周りの男たちは放っておかないんじゃない?」
「そ、そんなことないです」
「俺だったら、近くにこんなコがいたら、絶対に放っておかないと思うよ」
「学校が女子ばかりなので…」
「そうなんだぁ。どんな勉強してるの?」
「医療系の専門です」
「それじゃあ、男子は少なさそうだね」
「はい」
「あっ! 勢いでここまで連れてきちゃったけど、俺で大丈夫かな?」
「はい?」
「ほら、写メと違うとか、実物は怖そうとか思ってたら、無理しなくていいよ」
「え?」
「なんだったら、ココで10秒間目を瞑ってるから、このまま帰ってもいいんだよ。絶対に追いかけたりしないからさ」
「そんなことしませんよぉ」
「本当に? 俺で大丈夫?」
「はい。すごく優しそうで、安心してます」
「お、おう。優しいのだけは神に誓うよ」
「フフフ、ショーイチさんこそ私で大丈夫ですか?」
「さっきも言ったでしょ。近くにこんな可愛いコがいたら絶対に放っておかないって」
「あ、ありがとうございます」
そうこうしているうちに歌舞伎町に到着。この繁華街を抜ければラブホ街だ。
しかし、ここで一抹の不安を覚えてしまった。この時、時刻は20時過ぎ。クミちゃんはロリロリしていて可愛いので、傍目には18歳未満に見えても不思議じゃない。
なにもやましいことはしていないが、補導員が彼女に声をかけやしないかと、ドキドキしながら歌舞伎町を横断する。
もし声をかけられ、ふたりの関係を聞かれたらなんて答えようか。俺の彼女ですって断言したら、クミちゃんは引いてしまわないだろうか? しかし、友達と答えるのも無理がある。どうしたらいいもんか…。
そんな心配をしながら彼女を先導する筆者。そして、気が付くとラブホ街に到着していた。