ファーストメールを送って待つこと10分。サキコちゃんから返信が届いた。
やはり“何時からでも待ち合わせ可能”や“写メを送ります”といったアピールが効いたのだろう。
出会える系サイト遊びに慣れていない女性というのは、とにかく不安の塊みたいなもの。その不安を取り除くため、いつも以上に慎重なアプローチが重要になってくる。
まず、“何時からでも待ち合わせ可能”という気軽さを訴え、“写メを送ります”と伝えることで安心感を与えているのだ。
こういうサイト遊びの場合、女性は男性に対して容姿の良し悪しはあまり重要に思っていない。そう、イケメンを求めている女性なんてのは皆無に近く、とにかく安心して遊べることを重視している。
だからこそ、人畜無害の善人を装うだけで簡単に女性を口説けてしまうのだ。
サキコちゃんと数回のメールをやりとりし、あっさり約束が成立した。
待ち合わせ場所は、新宿アルタ前。約束の5分前に到着して待っていると、時間ピッタリにサキコちゃんらしき女性がやって来た。
イぃぃ、イヤッホぅぅぅ!!
彼女を一目見て勝利を確信した。女優・鈴木杏の“若いころ”を彷彿とさせる美形で、スレンダー体型だったサキコちゃん。これは大当たりの部類に入る上玉だ。
そもそも、出会える系サイトで男を求める女なんて不細工ばかりというのは大間違いだ。確かに二度と見たくない化け物にも数多く遭遇するが、芸能人クラスの美形女性も少ないながら存在している。
そんな女性に巡り合う確率は、コンマ数パーセントくらいなものだろう。しかし、遊び続けている限りいつかは絶対に巡り合えるものなのだ。
予想外の僥倖に頬の筋肉が緩んでしまう筆者。ギュッと奥歯を噛みしめ、スケベな面を表に出さないよう気合いを入れて、ゆっくりとサキコちゃんに近づいていった。
「こんにちは、サキコちゃんだよね?」
「あ、ショーイチさん? お待たせしちゃってゴメンなさい」
約束の時間に遅れたわけでもないのに、開口一番、謝ってきたサキコちゃん。これは彼女の真面目な性格の表れだろう。
こんな真面目なコが“エッチは大好きです”と書き込んで相手を求めていただなんて。思わず身震いし、改めて幸せを噛みしめてしまった。
「だ、大丈夫だよ。俺が早く来すぎただけだからさ」
「あ、ありがとうございます」
「で、どうかな?」
「え?」
「ほら、実際の俺って、写メより数百倍はエロそうでしょ? ひいたりしてない?」
「ぜ、全然大丈夫ですよぉ。いただいた写真よりずっと優しそうなので安心しました」
「優しいのは神に誓うよ。俺はMだから、女性に逆らうことが絶対にできないんだ」
「本当ですかぁ?」
「うん! だから安心してね」
「はぁい」
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