2018年は焼け野原になるライヴ・アイドル・シーンを覚悟しよう~2017年アイドル・ポップス・ベスト10


■1位:フィロソフィーのダンス「ダンス・ファウンダー」 
 

161231_band.jpg※画像:フィロソフィーのダンス「THE FOUNDER」PHILOSOPHY OF THE WORLD

 
 「新しいダンスを踊らせてあげる」と高らかに宣言したフィロソフィーのダンスの2017年の代表曲。代表曲といっても、2017年は「ベスト・フォー」や「ジャスト・メモリーズ」など重要曲だらけだったので、最後の最後まで悩んだ。すべてアルバム「ザ・ファウンダー」に収録されている。

 

 

 
 プロデューサーの加茂啓太郎による「アイドルがファンクを歌う」というコンセプトは、非常にシンプルながら、「日本のヒットチャートはファンクに厳しい」という事実も承知だったはずだ。しかし、ヲタの勢いとともに、フィロソフィーのダンスが動員を拡大していく様子は驚異的なものだった。

 また、Spotifyのバイラルチャートでは「ダンス・ファウンダー」が2日間連続1位を獲得した。アイドルでは初の快挙である。アイドルというフィールドを超えて、フィロソフィーのダンスは広がりだしている。

 周囲からは順風満帆のように見えるのに、フィロソフィーのダンスのメンバーと話すと、常に危機感を募らせている。それは、自分たちの状況をシビアに、正確に俯瞰していることの証拠だ。

 フィロソフィーのダンスが目指すべきは、現在の「強い現場」をさらに拡大していくことだ。大切なのはTwitterに書かれていることなどではなく、今フロアにいる人々の熱狂を真剣に受けとめることだ。奥津マリリ、佐藤まりあ、日向ハル、十束おとはのそれぞれが、評価軸を自分自身の中に作り、それを随時加茂啓太郎やマネジャーの初見翔平と話しあっていくことが重要だろう。

 「新しいダンス」を踊りたい人々はもっとたくさんいるはずなのだから。

 

 
■2位:The Idol Formerly Known As LADYBABY「LADY BABY BLUE」 
 

161231_band.jpg※画像:The Idol Formerly Known As LADYBABY「Pelo」キングレコード

 
 2017年5月3日に開催された、The Idol Formerly Known As LADYBABYと大森靖子によるツーマンライヴ『ネオ・ダダイズム パレード』vol.2での、金子理江、黒宮れい、大森靖子による「LADY BABY BLUE」の熱唱は忘れられない。それは、2017年11月17日に黒宮れいのThe Idol Formerly Known As LADYBABYの脱退が発表されてから、より記憶に刺さったままとなった。

 大森靖子がThe Idol Formerly Known As LADYBABYに書いた「LADY BABY BLUE」は、金子理江と黒宮れいのSNSでの言葉などを織りこんだ素晴らしい歌詞であった。正直、「Pelo」のカップリングにするにはもったいないほどだ。

 私は2017年、The Idol Formerly Known As LADYBABYと仕事をすることが多かった。そして、金子理江が監督、編集を担当した「LADY BABY BLUE」の映像の中には、「Quick Japan」の取材中に私が立ち会ったシーンがいくつも登場する。それゆえに「LADY BABY BLUE」の映像は、今見ると美しくも苦しい。

 そして、あの一瞬のふたりを「LADY BABY BLUE」で描いた大森靖子の才能に、感謝の念すら覚えるのだ。

 

 

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