連絡先をゲットするべく、そう提案してみたのだ。しかし、ワカナちゃんはうつむいたまま返答してくれない。
しまった! 地雷を踏んじまったか!?
しばらく沈黙があり、その後、辛うじて聞き取れるくらいの小さな声で彼女は言った。
「ゴメンなさい。こういうのは1回きりと決めていたので…」
ホテルを出て、ふたりして駅に向かう。ほぼ会話はなく、沈黙がなんとも重苦しかった。
そして、駅の改札口付近で別れを告げ、デートは終了した。
なんとも中途半端な幕切れだ。このモヤモヤした気分は、当分晴れそうになかった。
翌日、なんとなく【ワクワクメール】に接続して、ワカナちゃんのプロフィールページを確認してみることにした。
———————–
このユーザーは既に退会済みです
———————–
もうどうすることもできない。実際、このワカナちゃんのように、1回こっきりでサイト退会するという人妻は珍しくない。
彼女の「これからはセックスの時に、今日のことを思い出しますね」という言葉が、何度も脳内でリフレインした。
今後の彼女の性生活が少しでも良くなることを祈るばかりである。
(文=所沢ショーイチ)