既婚者だと偽って、こんなファーストメールを送信。すると10分ほどで返信が届き、約束はアッサリ成立した。
ちなみに、こうしたケースの場合、女性と会ってから無理に既婚者アピールをする必要はない。下手にアピールしてボロを出すより、沈黙を守ったほうが得策だ。それに、彼女たちは同じ既婚者だという免罪符が欲しいだけなので、向こうから細かく突っ込んでくることはほとんどない。
待ち合わせ場所の新宿アルタ前に到着すると、約束の時間の5分前なのに、すでにマコちゃんらしき女性の姿が。
スレンダー体型で、顔立ちは女優・篠ひろ子を彷彿させた。化粧がちょっと濃い目なのが気になったが、余裕でアタリの部類だった。
彼女を驚かせないよう、あえて正面に移動してからゆっくりと近づいていく。
「こんばんは。マコちゃんだよね?」
「は、はい」
「さっき【イククル】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「よろしくお願いします」
「ゴメンね。待たせちゃったかな?」
「いえ、全然大丈夫です」
「とりあえず、話ながら少し歩こうか?」
人混みを避けつつ、ラブホ街に向かって彼女を先導する。マコちゃんとの距離が近づくと、化粧品のキツい匂いがツンと鼻を刺激した。
メスの動物的な匂いは大好きだが、化粧品の匂いが苦手な筆者としては、性欲が減退しかねないレベルだった。
しかし、四十路の女性が初対面の男性に会うため一生懸命めかしこんできたと思えば、可愛いものではないか。強引にポジティブ思考に切り替え、匂いのキツさを忘れようと努めた。
「どうしようか? 軽くお茶でもする? それとも直接ホテルでいいかな?」
「えっと…」
「俺はどっちでも大丈夫だからね。マコちゃんに合わせるからさ」
「じゃあ、ホテルでお願いします」
「了解。それじゃ、向かおうか?」
「はい」
緊張しているのか、終始うつむいてばかりで、なかなかこちらを見てくれないマコちゃん。こういう事態に焦りは禁物だ。こちらの焦りが相手にも伝わってしまい、収拾がつかなくなってしまうからだ。
彼女にバレないようゆっくりと深呼吸を繰り返してから、ゆっくりとした口調を心掛けながら話しかけていく。
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