「こんなところで立ち話もアレなんで、少し歩こうか?」
「はい」
こうしてラブホ街に向かうことに。一刻も早くホテルにしけ込みたい気持ちを抑え、彼女の歩調にあわせて歩き始める。
「今日は学校帰りなのかな?」
「はい、そうです」
「学校では何を勉強しているの?」
「一応、英文学です」
「へぇ、すごいなぁ。勉強大変でしょ?」
「そんなことないです。好きで選択した学部なので」
「なるほどね。英文学だと男子が少なさそうだね」
「そうですね。私のところは7割近くが女子なので…」
「そうなんだぁ。でも、共学なら出会いの機会はいっぱいあるんじゃない?」
「それが、ダメというかムリなんです」
「えっ? どうして?」
「私、チャラチャラした男性が苦手なので、同年代にはあまり興味がないというか…」
「そうなんだぁ」
ここで肝心なことを聞いていなかったことを思い出す筆者。通りの邪魔にならないよう道の端に彼女を導き、立ち止まって聞いてみた。
「ここまで連れてきちゃったけど、俺で平気かな?」
「はい?」
「いや、俺もチャラく見えたりしてない?」
「全然大丈夫です。メールの印象通り、とても優しそうなので嬉しいくらいです」
「ありがとう。その期待には死んでも応えるからね」
「えっ?」
「ゴメン、ゴメン。死んだら困るよね。死なない程度に頑張るから!」
「フフフ、面白いですね、ショーイチさんって」
「そんなことないよ。アンナちゃんみたいに可愛いコの前だから、かなり無理してるんだよ」
「え? そ、そんな可愛くなんかないです」
「いやいや可愛いって。今は男子の少ない環境だろうけど、高校の時とかモテたんじゃない?」
「ぜ、全然モテてません」
「そうなんだぁ。でも安心していいと思うよ。アンナちゃんみたいなコが大好きっていう男は俺以外にもたくさんいるからさ」
「ありがとうございます」
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