そう決意して彼女に近づいていくと、顔の造作が徐々に分かってきた。
うーん、微妙…
アケミちゃんの顔は、元女子フィギュア選手の村主章枝を一回りげっそりさせた感じだった。不健康そうで不幸オーラが漂っていて、お世辞にもセクシーだとは言い難い。
心が折れかけてしまったが、ここで逃げ出しては愛の伝道師を名乗る資格はない。アクロバチックなエッチ、アクロバチックなエッチ…と暗示をかけつつ話しかけることに。
「こんばんは、アケミちゃんかな?」
「あっ、はい」
こ、この糞がっ!!
せっかくこちらが覚悟を決めて話かけたというのに、その反応はなんだよ!!
ハッ! いかん、いかん!!
このくらいで目くじらを立てていたら、出会える系サイト遊びを満喫することなんてできやしない。悲しいかな、これも出会える系サイト遊びの現実のひとつなのだから。
「さっき【ワクワクメール】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「はい」
うーん、これはかなり骨が折れそうな相手だ。だが、こういう相手と渡りあった経験は、のちのち必ず己の血肉となり、こちらのレベルアップに役立ってくれるものだ。
「じゃあ、行こうか?」
「はい」
こうして、微妙な空気のまま、ホテル街に向かうことにしたのだった。
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