ウキウキ気分の筆者は、足取りが軽くて仕方ない。ともすると、走りだしてしまいそうだった。そんな逸る気持ちを抑えながら、クミちゃんの歩幅に合わせて歩く。
「ところで、例のセフレとはまだ会ってるの?」
クミちゃんは人妻だが、セフレがいることを前回のデートの時に聞いていた。それが気になってしまい、思い切って聞いてみたのだ。
「それが、最近は全然会ってないんですよね」
「そ、そうなんだ」
「娘さんが幼稚園に入ったみたいで、休日は子供と遊んでばかりみたいなんです」
「あっ、セフレの彼も結婚してたんだっけ?」
「はい。それで会うペースがガクッと減ってしまって…」
「それで俺のこと誘ってくれたんだね」
「そ、そういうワケじゃないですよ。また会いたいって思っていたのは本当ですから」
「ありがとう。これから先も、気にしないで前日とかに誘ってね。予定が入っていないかぎり、絶対に会いにくるからさ」
「はい。ありがとうございます」
そんな会話をしながら歩き、前回同様いつもよりグレードの高いラブホテルに到着した。
部屋に入り、途中のコンビニで買った飲み物で喉を潤しながら世間話を続けることに。
「前回もそうだったけど、ジーンズがよく似合ってるね」
「え? そんなことないですよ。足が太くなっちゃって…」
「そんなことないってば! 今日も待ち合わせ場所で一目見て、すっごく色っぽいなぁって」
「そ、そうですか?」
「うん。目の悪い俺でもスグにクミちゃんだって気付いたもん!」
「あっ、私もスグに分かりましたよ。ショーイチさんのこと」
「それは、俺が相変わらずスケベな顔してたからかな?」
「フフフ、そうかもですね」
しばらく会話をした後、一言断ってトイレに行くクミちゃん。そして数分後、出てきたクミちゃんは、悲しそうな顔だった。
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