巡り合わせの不運を呪うしかないだろう。せめてあと数分早く彼女の書き込みに気がついていれば…。まっ、いつまでも引きずっていても仕方がない。気を取り直して、他の女性にアタックを開始する筆者なのであった。
ところが、20分ほど経ってユミカちゃんから返信が届いたのである!!
実は、その時には他の女性との約束が成立していたのだが、大慌てでそちらの約束をキャンセル。その後トントン拍子に話が進み、当初の目的通りユミカちゃんと待ち合わせすることになったのだ。
待ち合わせ場所は、西武新宿駅南口の目の前にあるファストフード店の入り口だ。その付近にある喫煙所で一服してから向かうと、すでにそこに身長の高い女性が人待ち顔で佇んでいた。
おっ! もう来ていたのか!
目を凝らしながら小走りでその女性に近づいていく筆者。
ぐぬぬぬぬぬっ
彼女の顔をハッキリ視認できる距離まで近づくと、突然歩行速度がガクッと落ちてしまった。
たしかに掲示板に書き込まれていた通りのハーフ系顔だ。しかし、それは男性のハーフモデルのJOYを女装させたかのような顔立ちだったのだ。
間違いなくJOYはイケメンだし、女性にもモテそうである。だが、それは彼が男だからこそだ。
こ、こんなバタ臭い顔している女性なんて…。こいつ絶対、仲間内では“ジョイ”って呼ばれていそう…。こちらの予想とあまりにかけ離れていたので、途端にヤる気をなくしてしまう。
こちとら“ハーフっぽい顔立ち”と聞いていたので、ローラやマギーや高橋ユウのような美女を想像していたのに…。
これじゃあ詐欺もいいところではないか!
しかし、親の心、子知らずの例え通り、我が愚息はすでに臨戦態勢だ。回れ右して帰りたい気持ちも強かったが、親馬鹿な筆者は下半身の命じるがままに行動することにしたのだった。
「お待たせ! ユミカちゃんだよね?」
「は、はい」
「さっき【ワクワクメール】で約束させてもらったショーイチです。今日はよろしくね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
「随分と早く来てたんだね。だいぶ待たせちゃったかな?」
「い、いいえ。1、2分くらいしか待ってないので大丈夫です」
「それなら良かった。じゃ、早速だけど行こうか?」
「はい」