疑おうと思えばいくらでも疑うことは可能だ。しかし、それではキリがない。それに、たとえ騙されたとしても、何も命までとられるわけではない。騙されるのも一興だと、大きく構えるくらいがちょうどいいのだ。
そんなワケで、このルカちゃんに返信することを決めた。
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こんばんは、ルカさん。
メールどうもありがとう!
お誘いしてもらえてとても嬉しいです!!
こちらは平日の夜ならたいていヒマしてますので、
いつでも待ち合わせすることができますよ。
ルカさんの都合に極力合わせられると思うので、
近いうちにお会いできたら嬉しいです。
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こんなメールを送信したところ、ほんの5分ほどで返信が届いた。そこから数回のメールのやりとりを行い、翌日の夜に待ち合わせすることになったのだ。
ちなみに、この【ワクワクメール】で女性からこんな風にお誘いメールが届くのは稀なこと。年に数回くらいなものだ。
こういうケースに備えて、筆者自身のプロフィールはガッツリと手間を惜しまずに書きこんである。そうした努力が、こういった形で実を結んだと思われた。
待ち合わせ場所は、新宿に不慣れだという彼女のために分かりやすい新宿アルタ前にした。約束の時間ちょうどに現れたルカちゃんを一目見て、思わず頬の筋肉が緩む筆者。
おっ、こりゃアタリじゃん!!
顔の雰囲気は、バンド「ゲスの極み乙女。」のドラム担当の“ほないこか”といった感じ。どことなくエキゾチックで、筆者の大好きなタイプだ。
ま、筆者にしてみれば世の女性の9割以上は、大好きなタイプに分類されるのだが…。
ルカちゃんより先に視認していた筆者は、ツツツと彼女に近づき声をかけた。
「こんばんは、ルカちゃんだよね?」
「あ、ショーイチさんですか?」
「うん、そうだよ。今日はよろしくね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
「さっそくだけど、俺みたいなヤツで大丈夫?」
「え?」
「絶対に怒ったりしないから、嫌だと思ったらこのまま帰っていいからね」
「えぇっ!? そんなことしませんよ」
「ホントに? 無理してない?」
「はい。全然OKですよ。むしろ、優しそうなので安心しました」
「うん! 優しいのだけは神に誓って間違いないから安心していいよ」
「フフフ。ショーイチさんも私で大丈夫ですか?」
「あったりまえだよッ! 嫌だと思ってたら声もかけずに逃げてたよ」
「えぇ? そんな酷いことするんですか?」
「うん。だって、相撲取りみたいな体型の女性だったら怖いでしょ?」
「そ、そんな人もいるんですか?」
「俺はないけど、なかにはそういう人もいるみたいだよ」
こんな具合に初対面とは思えないほど、会話が弾んでしまった。そして、ノリノリのままホテル街に向かって歩き始めることに。