このままココで10分ちょっと時間を潰してからホテルに向かえば、泊り料金のみでチェックインできるハズだ。
その10分を有意義に過ごすため、リサーチを開始することにした。
「カホちゃんの家ってどっちの方向にあるの?」
「えーっと、九州の方です」
「え? 生まれも、育ちも?」
「はい。一応そうなりますね」
「全然分からなかったよ。だって方言もないし、イントネーションも標準語そのものだよ」
「ふふ、ありがとうございます」
「でも、今日は友達のトコに帰れないんだよね」
「はい」
「じゃあ、良かったら俺とホテルに泊っちゃわない?」
「え?」
「あ、嫌だったらいいんだよ。でも、俺、明日の予定がとくにないからさ…」
「い、いいんですか?」
「うん。一晩中エアコンもきいてるし、広いベッドで熟睡するのもいいよね?」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますね」
「でも、怖くない? 初対面のこんな助平ヅラして俺とお泊りって?」
「全然スケベな顔してませんよ。とっても優しそうだし…」
まっ、20歳そこそこの小娘には、薄皮一枚で包まれている筆者のスケベさを見抜くことはできないだろう。ただ下半身の命じるまま優しく接していたのだが、いいように勘違いしてくれたようだ。
こうして10分少々のティータイムを終え、まずはコンビニに向かうことに。すでにカホちゃんは夕食を済ませていたようなので、筆者用の夕食のお弁当と飲み物を購入。そして、ふたりでおしゃべりしながら、スナックやジュースやちょっとしたデザートを選んだのだった。
はぁ、お泊りデートの前の買い物タイムって本当に楽しいものだ。まるで遠足前夜のような気分になってしまう。その後、筆者がよく利用しているグレードの高いラブホに到着。パネルでボタンを押し、フロントに向かう。
そして、フロントスタッフに聞かれる前に「泊りで」と伝え、ルームキーを受け取った。