気を取り直しミサちゃんに近づいていき声をかけることにしたトコショー。
「こんばんは、ミサちゃん」
「あ、はい」
「さっき【ワクワクメール】でメールしていたショーイチです。今日はよろしくね」
「は、はい。こちらこそ」
ちゃんと受け答えしてくれるミサちゃんだったが、なんとも暗そうな表情のままだ。これが可愛いコちゃんだったら、思いっきり道化を演じて場を盛り上げる筆者なのだが、今回はどうもその気になれない。女性を見た目で判断しないと言いつつも、どうしても対応に差ができてしまうのは仕方ないところだろう。
「じゃ早速だけど行こうか?」
いつもなら「こんな俺で大丈夫?」だの「ゴメンなさいしてもいいんだからね」だのと女性を気遣う筆者。しかし、相手の容姿に難ありの場合、途端に強気になってしまうのであった。
適当に世間話をしつつホテル街に到着。すると、ミサちゃんがトンデモない事を言いだしたのである!
「あ、ここのホテル綺麗だからココがいいな」
ミサちゃんが指差したホテルは、筆者も過去に数回ほど使ったことがある。街中をねり歩きながら見せびらかしたくなるようなイイ女の時に使うグレードの高いホテルだ。
お前ごときにそんな金使いたくねぇよっ!!
心で毒づくものの、小心者の筆者はそれをクチにすることができない。ましてや見栄っぱりの筆者だ。「ここは高いから嫌だ」なんて言えるわけもない。
こうして、渋々ながらそのグレードの高いホテルに入ることになってしまったのだ。
部屋に入るなり、室内の備え付け冷蔵庫を開けて中身を物色するミサちゃん。そして筆者に向かい「飲み物いただいちゃいますね」と告げると同時にドリンクを取り出して飲み始めたではないか!!
あ、こりゃ駄目だ。
ポキっと心が折れてしまったトコショー。
お人よしで気が弱そうな容姿の筆者。それゆえコチラを舐めくさっているとしか思えない。
な、舐めやがってこのアマ!
そう思いつつも、引きつった笑顔を浮かべることしかできないトコショーなのであった。
どうにもいかん。一向にペースが掴めないことに焦り始めるトコショー。相手が極上のいい女なら向こうに主導権を握られていてもウエルカムなのだが、ミサちゃんの場合はそうもいかない。
「じゃ、先にシャワー浴びてきてよ」と告げる筆者。
「え? お風呂入りたいな」
「あ、ごめん。実は俺、終電が早くってさ。だからあんまりゆっくりしていられないんだ」
「えぇ? そうなんですかぁ?」
「うん、ホントゴメンね」
かなり苦しい言い訳である。だが、心が折れてしまってるのだから仕方あるまい。一刻も早く家に帰りたい衝動に駆られる筆者であったが、とりあえず一発しないことには話にならないだろう。
こうして順番にシャワーを浴び、ベッドイン開始。