好調日テレが苦戦する「金曜夜7時枠」の魔物


 この現状に先ほどの関係者は、

「以前この枠では、内村光良さんがメインを務める『笑神様は突然に…』が放送されていました。芸能界の鉄オタが集まって各地を旅する『鉄道BIG4』や、鈴木拓さんのチャレンジ企画『スーパーサラリーマン』などで人気のあった番組です。しかし、昨年8月末に行われた改編説明会で、黒崎太郎編成局次長は、『視聴率はそこそこだが、爆発的なものか見えてこない』と説明し、終了することになった。その後『沸騰ワード』が始まったのですが、こちらのほうこそ『爆発的なものが見えない』ばかりか、上昇する気配もありません。

 といっても、日テレとしてはおそらく半年から1年は我慢するでしょう。そのため、現在のところ金曜夜はTBSの独壇場になっている。爆笑問題さんの『爆報!THE フライデー』から始まり、安定した人気を誇る安住紳一郎アナ司会の『ぴったんこカン・カン』とSMAPの中居正広さんがMCを務める『金曜日のスマたちへ』という縦ラインは強力で、これを切り崩すのは難しい」

 と語った。業界内には、数字的にフタ桁を堅持していた『笑神様』を、「ブラッシュアップして続けているほうが良かったのでは」との声も少なからずあるという。

 ただ、日テレの金曜夜7時台は、昔からなかなか視聴者に定着しない枠だったという。別の番組制作スタッフが明かす。

「『笑神様』も2年で終了しましたが、歴代番組にも短命なものが多い。『笑神様』の前には、世の中のあらゆるモノがガチ(本当)かガセ(ウソ)かを見破るクイズバラエティ『ガチガセ』でしたが、これは1年で終了しています。それ以前は、毎週さまざまな企画を放送する『金曜スーパープライム』という2時間番組でしたが、これも2年あまりで終わった。健康番組『寿命をのばすワザ百科』や雑学番組『うんちく・しりすぎ』などは、わずか数カ月で打ち切られています。まさに“死に枠”です」

 この関係者は「7年前の人気番組の移動」が、低迷の原因ではないかという。

「この枠は、2009年まで12年間にわたって『ぐるぐるナインティナイン』が放送されていました。しかし、現在の木曜夜8時に移動し、そこから金曜夜7時の不運が始まったと言われています」(前同)

 好調な日本テレビにとって鬼門といえる金曜夜7時。だが、この枠が盤石になれば、さらに日テレの独走状態は続きそうだ。
(文=今井良介)

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