老人に犯される血のつながりのない女性たち…ヘンリー塚本が説く『近親相姦』の真髄とは?


 ただし、僕が表現したいのは悲劇の世界ではありません。だから作品では、一つ屋根の下で暮らしながらも血のつながりのない、義理の兄妹や父娘、母息子の関係で近親相姦を描きます。あってはならない関係の男女が味わう肉欲の世界は、普通の男女のSEXよりもずっとずっと重々しく、身震いするほどの快楽が潜んでいます。

 いけないと知りながら、それを求めてしまうところに罪深き人間の本質がある。これは僕の考えですが、近親相姦をしてしまう男女は、実は思慮深い人間なのだと思います。男女のこと、SEXのこと、快楽のこと、さまざまなことを考えたうえで、近親相姦に味わいを求めるのです。SMやスカトロを嗜む人は頭が良いとはよくいいますが、それと同じこと。生きることとはなんなのかを、突き詰めてゆける知性があるのです。

 僕は女優の面接のとき、いつも初体験について聞いています。中学生の頃に同い年や少し年上の彼氏としました。10人に尋ねれば、9人はこう答えます。だけれどもごくまれに、叔父さんや祖父にやられましたという話が出てくる。

 ある女優には、父方と母方にそれぞれ、優しくて大好きなお祖父さんと、いやらしくて大嫌いな祖父がいたそうなんですが、大嫌いなお祖父さんのほうに力ずくでやられたと言うんです。そして、それを誰にも言わなかったと。僕はそこに女を感じました。きっと言えない「何か」があるんだろうと。「その後も関係を持ったの?」と尋ねれば彼女は、「たまに」と答えます。世の中には、そういう摩訶不思議な男女関係があるのです。

 今年、僕が掲げようとしているテーマは、「真面目ばかりが人生ではない」です。常識としては間違っているかもしれないけれど、真面目な人で終わってしまう親切なお祖父さんより、不真面目で悪党なお祖父さんにこそ僕は惹かれてしまうんです。だから近親相姦ものを撮るときは、悪役のできる男優を起用します。できれば一回くらいブタ箱に入って、前科のあるような男がいいですね。そんな男優に真面目なお父さんをやらせると、実にいい味が出る。何度も言いますが、人間にはどうしようもない罪深さ、そして愚かさがある。その世界を描くことこそがポルノとしては真実だと思うし、面白いと僕は思うのです。
(構成=森野広明) 
 

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『ヘンリー塚本 近親相姦 とんでもない家族の性交の記録 美しい姉・エロい母・好色の父』

FAプロ30周年記念作品の第5弾! 近親相姦……禁断の肉欲、色欲のドラマはいつの時代も尽きることがなく、人の理性は性の快楽の前にはひとたまりもない。不条理な愛に身を任せた、愚かしきエロスのページがめくられてゆく。
監督:ヘンリー塚本 発売日:2016年1月13日 収録時間:110分 メーカー:FAプロ


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ヘンリー塚本(へんりー・つかもと)
昭和18(1943)年、東京都亀戸生まれ。昭和60(1985)年にAVメーカー・FAプロを設立。社長兼監督として、72歳になる現在も精力的に活動を続ける。貧しさのなか懸命に生きた昭和の郷愁を誘うその作風は、中高年AVユーザーの熱烈な支持を集めている。


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