———————–
マヤです。
今いけふくろうに着きました。
ショーイチさんはいまどの辺ですか?
———————–
まだ約束の時間まで大分余裕があったのだが、マヤちゃんが先に到着してしまったようである。スーーーーーーーーーっとタバコを咥えたままで大きく息を吸い、一気にニコチンを体内に取り入れる。そしてもったいないと思いつつも吸いかけのタバコを灰皿に捨て、メールを打ちながら再度いけふくろうに向かい始めた筆者なのであった。
ストトトトンと地下への階段を下りている途中、いけふくろうのオブジェの真ん前に立っている女性を発見。あらかじめメールで聞いていた通りの服装だったので、それがマヤちゃんだとすぐに判明。
マヤちゃんの第一印象は、おニャン子クラブ会員番号5番の「なかじ」こと中島美春を3倍ほど地味にした感じだ。影が薄くて幸薄そうな雰囲気が滲み出ている具合である。
ま、不細工キモ親父の筆者が言える立場ではないのだが、可もなく不可もなくといったところだろう。
そのまま真っ直ぐマヤちゃんに近づいていき、声をかけた。
「こんばんは、マヤちゃんだよね」
「あ、はい」
「待たせてゴメンね。【イククル】で約束してたショーイチです。今日はよろしくね」
「は、はい」
どうにも反応の薄いマヤちゃん。緊張しているってワケではなさそうなのだが、こうもノリが悪いとこれから始まるエッチへの期待が持てなくなってしまう。
メラっ!
そんな女性に対して、「だったらノリノリにさせてやるズラ!」と闘志を燃やすのが筆者所沢ショーイチである。
「いや、あのさ、ホントにマヤちゃんだよね?」
「はい。そうです」
「うわぁ、俺ってばラッキーだなぁ。こんな可愛いコが来るとは思ってなかったよ」
「そんなこと、ないです」
「いやいやあるってば! 俺が来るまでにナンパとかされなかった?」
「い、いいえ」
「でも絶対周りの男たちはマヤちゃんのこと見てたと思うよ」
「そ、そんな」
「ホラ、今も絶対に俺たちのこと見てるんじゃないかな?」
「え、そうなんですか」
ちょっと軽薄なくらいの勢いで矢継ぎ早にジャブを叩き込んでみたのだが、見事に空振ってしまったようだ。このままこのノリで行くのはちょっと無理かもしれない。
こうなったらさっさとヤることヤって、ベッドの中で盛り上げるしかないだろう。
「じゃ、さっそくだけど行こうか?」
「は、はい」
「あ! そうそう、俺ってこんな感じだけどマヤちゃんは大丈夫かな? 嫌だったらゴメンなさいしていいんだからね」
「い、いえ、大丈夫です」
「そっか、ありがとう。じゃ行こうか?」
こうして池袋駅北口の階段を登り、ホテル街に向かう二人。そしてホテル街に入ってすぐの所にある激安ラブホに無事チェックインすることができた。
ベッドとユニットバスがあるだけの狭い部屋でソファすらもないチープさである。まずはマヤちゃんに先にシャワーを浴びてもらい、入れ替わりで筆者もシャワーを浴びる。
時折り電車の通過音が響くその部屋でエッチが開始されたのである。