【世界の風俗・パナマ共和国編】 危うくパナマ運河に沈められるところだった


 彼らが慌てた理由を車の中で聞いてゾッとした。ケイトの父親はパナマシティでも有名なマフィアであり、ケイトはカスコ・ビエホの売春宿のオーナーであるという。だから、彼女が売春宿に戻った瞬間、他の女の子たちの間に微妙な緊張感が走ったのだろう。

 それではなぜ、ケイトはオーナーという立場なのにコトに及んだのか? 「日本人だから興味本位じゃないの?」とアロンが言えば、「彼女の父親は日本でビジネスでもしたいんじゃないの? そのキッカケができたから、きっと喜んでいるよ」と無責任にラファエルが話す。まぁ、2日後にはパナマを出国するから、それまで逃げ切ればいいだろうなんて考えていたのだが…。

 逃げ切れなかった。そう、その夜、ケイトがホテルの部屋を探し当てて、いきなりやって来たのだ。そして、情けないのだけれど、彼女に押し切られる形でベッドインしてしまったのだ。

 ただ、昨日と違うのは、ケイトはすっかり恋人気分であり、「一緒にシャワーを浴びましょう!」と言って、しっかりとアソコを洗ってからフェラをしてきた。キスのこともあって予想はできたが、やはり積極的なフェラで舐めちぎられるのではないかと思ったほどだ。もちろん、合体も1回では済まなかった。

 結局、帰国するまでの2日間、ビジネス以外の時間はケイトと一緒にいることになったが、父親の影響から至るところで顔がきくのだろう。レストランなどでは、かなりのおもてなしを受けた。ただ、次第に「ヤバイぞ、これは…」と思い始めた。

 そして、ついに帰国。その場をやり過ごすため、「日本に戻って環境を整えてから、またパナマに来るよ」と伝えると、ケイトは号泣してしまった。「明日、迎えに来て!」と言い出す始末だ。遠くでは、彼女の父親がお付きの者と見守っているではないか。ここで、「結婚するつもりはない」と言ったら、間違いなく、パナマ運河に沈められただろう。

 帰国後、毎日ケイトから「いつ?」と電話があった。もちろん、明確な答えを出せないので口をつぐむと、「嫌いなの?」と泣き出す。さらには、父親が電話に出て「どういうつもりだ?」と言ってきた。その声のトーンに怒りが込められているのは明白だ。

 さらに、アロン経由でラファエルから「ケイトの父親が配下の人間を日本に送り込んで、ミタを探す」と言い出しているという。しばらくの間、約13,500キロ離れた国からの使者の影に怯えていたのは言うまでもない。それほど、マフィアというものは恐い。そして、海外では曖昧な返事を慎むべきだと教えてくれた出来事であった。
(文=美田三太)

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