『ヨルタモリ』が絶好調! 進まない“お笑い界の新陳代謝”


 かつてビートたけしは、1980年代始め、“視聴率100%男”と呼ばれていた萩本欽一(73)が天下を獲っていた時代に、「欽ちゃんの笑いは古い」「嫌い」などとテレビや雑誌で堂々と公言し、欽ちゃん降ろしの一大キャンペーンを張ったことがある。さらには、明石家さんまも『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日系)に出演した際、欽ちゃんにいつものテンポでの笑いをさせず、会場の笑いをかっさらい、引導を渡した。そうしてビッグ3は自ら世代交代を推し進めてきた経緯がある。しかし今ではそのビッグ3への批判はできないというのが、業界全体の暗黙のルールになってしまっているようだ。

 また別のバラエティ番組スタッフは、「ひな壇芸人」や「〇〇芸人」という細分化が、上を目指そうという芸人の気持ちにブレーキをかけているところがあると指摘する。

「司会をしたいとの思いがありながら、『ひな壇』で活躍するタイプもいますが、最初から『ひな壇でもいい』と考えている若手もいます。趣味や特技はテレビの企画にはまりやすこともあって、ネタ作りより、そうした面を伸ばす芸人も多いです。そもそも“冠番組を持ってMCを務める”という、これまでの芸人が目指してきた目標に魅力を感じない若手もいるほどです」(バラエティ番組スタッフ)

 とはいえ有吉弘行(40)が各局に冠番組を持っているように、静かながら世代交代は進んでいるように見える。もちろん「大きく時代が変わる」には、ビッグ3の誰かが完全に引退しないと実現しないのだろう。果たしてお笑い界の椅子取りゲームは今後どのように展開していくのか。中堅から抜け出す芸人が現れるのか、それとも驚異的な若手が登場するのか。縦の関係も横のつながりも強固になっている今のお笑い界では、誰かが一人勝ちするのは難しいだろうが、視聴者とすれば、せめてその意欲を見せる芸人に現れてほしいものだ。
(文=今井良介)

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